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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。


頑張る魚肉ソーセージ

No.295


 魚肉ソーセージ(フィッシュソーセージ)は、魚肉のすり身をケーシングに入れて加熱した加工食品です。産業的に魚肉ソーセージが作られたのは、日本が最初と言われています。大正時代に各地の水産試験場で魚肉を原料とするハム・ソーセージが試作され、1935年(昭和10年)にマグロを原料とするハムが販売されました。今日の魚肉ソーセージの原型は、1951年(昭和26年)に「スモークミート」の名で商品化されたものです。


 その後の消費量増加に伴い、1962年(昭和37年)には魚肉ソーセージに関する日本農林規格(JAS規格)が制定されました。この規格では、魚肉の原材料に占める割合が50%以上のものを魚肉ソーセージとしています。魚肉以外の原材料として、豚脂肪や結着材料などが使用されています。


 1972年(昭和47年)には、魚肉ソーセージの生産量 は19万t近くに達し、ピークを迎えました。当時、一世帯当たり年間50本近くの魚肉ソーセージを食していたことになります。しかしその後は、魚肉ソーセージに使用されていた保存料への不安などもあり、生産量が減少しました。


 一方で近年、カルシウムやDHAといった機能性成分を添加した製品の開発が盛んになり、ヘルシー志向の強まりも手伝って魚肉ソーセージが見直されるようにもなっています。とくに2005年に発売された「DHA入りリサーラソーセージ」は、魚肉ソーセージで最初の特定保健用食品(トクホ)となり、市場にもしっかりと定着しています。


 最近登場した魚肉ソーセージで私が注目しているのは、マルハニチロ社の「産地厳選フィッシュソーセージシリーズ」です。写真は、上から「北海道産さんまを使ったお魚ソーセージ」、「三陸さんさばを〜」、「銚子さんいわしを〜」、「広島産かきを〜」、「鰤王 九州産ぶりを〜」です。これらの他にも、「焼津産かつおを〜」、「三陸産銀鮭を〜」、「極味 山陰でとれたのどぐろを〜」があります。


 このシリーズで感心するのは、単に原料を変えているだけでなく、ソーセージの太さや長さがそれぞれで微妙に異なっている点です。意図しているところは、正確にはわかりませんが、それぞれの製品の特長を生かすための工夫かと思います。お味の方も、従来の魚肉ソーセージとは一線を画すものと言えるでしょう。


 畜肉が高価で魚肉が安価だった時代を知る方は、魚肉ソーセージに代用品のイメージを持っているかもしれません。ただ、安価で栄養価の高い魚肉ソーセージは、早くから学校給食に利用されるなど、社会的に大きな貢献も果たしてきました。「DHA入りリサーラソーセージ」などの登場以降は、新たな存在価値を持つ食品として見直されてきました。フィッシュソーセージと呼ばれるようになった魚肉ソーセージは、すでに生まれ変わったのかもしれません。



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