2008.12.26 Friday
バラ焼きの街・十和田
No.35
前回に続いて地元青森県内の話題です。 今回は、私の勤務する北里大学獣医学部のある十和田市に関係深いものです。 「バラ焼き」という肉料理をご存知でしょうか? 薄切りの牛バラ肉と玉ネギを甘めのタレで味付けしたもの(写真)を、鉄板でいためただけの簡単な料理で、十和田市を中心とした地域では、焼肉店などの定番メニューとなっています。 写真を見ると、玉ネギが多めに感じられますが、そこがけっこう大切なポイントだと思います。 ご覧になればおわかりになるように、それほど特殊な料理ではありませんが、不思議なことに他の地域ではほとんど知られていないようです。
私は十和田に来てから20年以上経っており、残念ながら、最初にバラ焼きを食べたとき、どの程度の感動があったかは今ではまったく覚えていません。しかし、その美味しさは特筆すべきものがあり、私もかなり頻繁に食べていますし、学生諸君とのバーベキューなどのときにも、よく食べてもらっています。彼らが最初に見せる反応も、珍しい料理に対するものではありませんが、その美味しさに驚きの声をあげる者が少なくありません。とにかく美味しく、ご飯に合います。
朝日新聞の記事などによると、バラ焼きは、戦後、三沢市(十和田市にほぼ隣接、地図参照)の米軍基地に近い食堂で誕生したという説が有力なようです。同じく戦後の三沢市のバラック飲食店街で、韓国料理のプルコギをまねて提供したのがルーツだとする説もあります。いずれにしろ、三沢市で誕生し、十和田市に伝わり定着したというのは間違いがないようです。今日では、バラ焼きがもっとも親しまれているのは十和田市で、多くの飲食店で食べることができます。
最近、十和田市では、このバラ焼きを地域活性化の目玉として活用しようとしています。十和田市役所や十和田商工会議所では、あれやこれやと知恵をひねっているようです。今月14日(2008/12/14)には、十和田市の中心商店街で「十和田バラ焼き博覧会」(チラシ参照)が開催されました。市内の焼き肉店など17店舗が参加し、2000食が無料で振る舞われ、多くの人たちが集まりました。今後、全国に向けて「バラ焼きの十和田」を発信するために、ご当地B級グルメの祭典「B−1グランプリ」への参加も目指すとのことです。また、十和田市役所に勤務する小幡知道さんは、十和田市内の飲食店を回って、ご自身のブログでバラ焼きを紹介し、ブームを盛り上げています。このブログ、かなり人気が高まっているようです。
バラ焼きブームで、十和田市が活気ある街になることを私も心から願っています。ただちょっと気になるのは、バラ焼き人気に火が着いた場合に、「バラ焼きの十和田」にどの程度の価値が見出せるかという点です。当地の牛肉や玉ネギを使用する特別な理由はありませんから、全国どこでも「バラ焼きの街」が誕生しそうです。わざわざバラ焼きを食べるために、十和田に来られる方も少ないのではないでしょうか。何かうまい知恵で、バラ焼きが十和田の名物料理になればよいのですが・・・。
ところで、今年4月に、十和田市の中心部に、十和田市現代美術館(下写真)がオープンしました。 当初、お客さんが来てくれるのかという危惧もありましたが、マスコミなどでも好意的に紹介され、予想以上に多くの皆さんが訪れ、十和田市の新しい観光ポイントとなっています。 ぜひお越しいただき、バラ焼きと共にお楽しみになってください。
今回が、本年最後のトピックスです。今年1年間、月に2回の掲載を行うことができました。来年もこのペースで、ささやかな情報発信を続けていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。新年のご多幸をお祈りいたします。
食品のトピックス | 10:02 | 2008.12.26 Friday |