2009.04.27 Monday
幻のカレーヨーグルト
No.43
私は食品のパッケージ(容器)にかなり関心があり、ヨーグルトなどの容器で気に入ったものや珍らしいもの(デザインや製品コンセプト)は、捨てずに保存しています。コレクションというほどのものではありませんが、20年以上続けていると結構な数にはなります。多くは研究室の書棚(写真をクリックすると拡大写真がご覧いただけます)に並べていますが、スペース不足に悩まされています。
私のコレクション(?)をご覧になって、多くの方が目を止められるパッケージがあります。それが、今回のタイトルとなっている森永乳業の「カレーヨーグルト」です。パッケージに刻印されている品質保持期限は、「1998年4月」となっていますから、すでに10年以上前の製品です。販売されていた期間は非常に短く、私も一度しか買う機会がありませんでした。しかし、いまだにこのヨーグルトについて触れているウェブサイトが結構残っており、当時、ある意味では評判になったヨーグルトだったのでしょう。パッケージのデザインもかなり魅力的です。ウィキペディアでも、「カレーヨーグルト」が解説されていますので、ご参照ください。
ウェブサイトの記述を見ると、「日本一まずいヨーグルト」や「罰ゲームに最適」などと非常に手厳しいコメントが多いのですが、実に強烈な製品だったのは確かです。今日に至るまで、私はこのカレーヨーグルトを凌ぐインパクトのあるヨーグルトには出会っていません。カレー風味のヨーグルトというのも異色ですが、ヨーグルトの中に小さな肉片や野菜片が混在しているのには、かなり戸惑いました。パッケージには、「ビックリなおいしさ」とありますが、おいしさはともかく、ほとんどの方はパッケージを開けてびっくりされたことでしょう。カレーを作るときにヨーグルトを入れるという話はよく聞きますが、ヨーグルトにカレーを入れるという発想はユニークです。なお、「電子レンジでの加温はおやめください」とありますが、ヨーグルトの注意書きらしからぬものです。
森永乳業からは、これまでに様々なヨーグルトが発売され、「カテキン緑茶ヨーグルト」や「ジンジャーヨーグルト」といったものがありました。その他にも、ナタデココやハーブ入りのヨーグルトなどが出され、注目の食品素材はひととおりヨーグルトに入れてみるというのが、森永乳業におけるヨーグルト開発の基本姿勢なのかもしれません。なお、「ナタデココヨーグルト」は、現在も定番製品として販売されています。
森永乳業の開発したユニークなヨーグルトの大部分は、短命に終わったようですが、大ヒットした製品として皆さんよくご存知の「アロエヨーグルト」があります。昔から、アロエは体に良いという評判でしたが、独特の風味(苦味など)があり、食品に利用する素材としてはなかなか難しいものでした。ヨーグルトにも決して合う素材ではなかったかと思いますが、アロエヨーグルトは、扱いにくい素材をうまく生かした秀逸な製品となっています。ヒットしてしまえば当たり前のような感じもしますが、開発当時としてはかなり冒険的な製品だったのかもしれません。
他社のヨーグルトで、珍しいと言えそうなものを私の手持ちのパッケージの中から探すと、「サボテンヨーグルト」や「プラチナヨーグルト」あたりが、少し目を引きます。また、なかなか店頭で目にする機会はありませんが、高知県のひまわり乳業もユニークなヨーグルトを作っており、「青汁ヨーグルト」や「宇宙を旅したヨーグルト」などがあります。ただ、これらの製品もカレーヨーグルトにはかなわないような気がします。森永乳業さん、カレーヨーグルトの復活はありませんでしょうか?もう少しマイルドな風味にするとか、新しい食べ方の提案があれば、ヒット製品になる可能性がありそうに感じられます。通常のヨーグルトのような食べ方ではなく、サラダにドレッシングのようにかければ、結構マッチするのではないかとも思います。
前々回の「だから売れた!」でも少し触れましたが、製品がヒットするには理由があると考えるのが普通でしょう。しかし、どう考えても売れそうになかったものが意外なヒット製品になることもあります。現在、経済状況が非常に悪く、冒険的な製品開発が難しい時代かと思いますが、食品メーカーの皆さんには、何とかユニークな新製品誕生に向けてがんばってもらいたいものです。カレーヨーグルトを越えるような強烈な製品に出会える日を心待ちにしています。
食品のトピックス | 11:50 | 2009.04.27 Monday |