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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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プロバイオティクス・ストロー

No.47


 先日、家内が近所のスーパーで見つけたと言って、「プロバイオティクス・ストロー (probiotics straw)」なるものを買ってきてくれました。


 「プロバイオティクス(probiotics)」という用語はずいぶん使われるようになり、ヨーグルトのパッケージなどでもよく見かけます。もともとは、「アンチバイオティクス(抗生物質)」に対比する形で提唱された概念で、「腸内フローラのバランスを改善することによって、宿主の健康に好影響を与える生きた微生物菌体」のことです。なお、腸内フローラとは、腸管内に存在する微生物のことで、100種100兆個以上の微生物により構成されているとも言われ、私たちの健康状態と密接な関わりをもっています。プロバイオティクスとして用いられている代表的な微生物として、乳酸菌やビフィズス菌があります。


 さて、プロバイオティクス・ストローという製品ですが、見た目は牛乳パックに付属しているようなごく普通のストローです。しかし、ストローの内側には生きた乳酸菌(Lactobacillus reuteri)が塗布されていて、ストロー1本にヨーグルト3個分の乳酸菌が入っているそうです。このストローを使えば、飲み物がストロー中を通過するときに乳酸菌が溶け出して、どんな飲み物も「乳酸菌飲料(プロバイオティクス飲料?)」になってしまうという代物です。なかなかユニークな発想です。


 これまで、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)は、発酵乳やサプリメント(食品)として、あるいは生菌製剤(医薬品)として摂取するのが一般的でした。プロバイオティクス・ストローの登場は、新しい摂取法の提案と言えるものかもしれません。この方法は、乳酸菌の摂取以外にも使えそうで、ビタミンやペプチドなどもストローに塗布できるでしょう。私の家内は、「コラーゲン・ストロー」が欲しいと言っていましたが、ソーセージのケーシングに使われている可食性コラーゲンを使えばストロー自体も作れそうです。使い終わったストローを、そのまま食べてしまうというのであれば、エコ的な感じもしますがいかがでしょうか。なお、念のため申し上げておきますが、プロバイオティクス・ストローは食べることはできません。

 プロバイオティクス・ストローを販売しているバイオガイアジャパン株式会社からは、「キントレ」という製品も出ています。この製品は、ごく普通の果汁入り飲料に、上述のプロバイオティクス・ストローが付属しています。パッケージにある「筋トレより、菌摂れ。」というちょっと面白いコピーが目を引きました。


 ところでプロバイオティクスほど知られていませんが「プレバイオティクス(prebiotics)」という概念も提唱されています。プレバイオティクスは、「腸内に生息する有用菌に選択的に働き、増殖を促進したりその活性を高めることによって宿主の健康に有利に作用する物質」であり、オリゴ糖や食物繊維などが様々な食品に利用されています。もっとわかりやすく説明すれば、プロバイオティクスが乳酸菌やビフィズス菌といった生きた微生物であるのに対し、プレバイオティクスは乳酸菌やビフィズス菌の増殖促進物質(エサ?)ということになるでしょう。さらに最近では、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両者の混合物である「シンバイオティクス(synbiotics)」という概念も登場しています。こういった状況を背景として、今後も関連製品が誕生し続けることでしょう。


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食品のトピックス | 12:04 | 2009.06.26 Friday |