<< November 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

<< ダンボールの牛と豚 | main | 佐渡の「へんじんもっこ」 >>

イグ・ノーベル賞

No.56


 北里大学名誉教授の田口文章先生が、今年のイグ・ノーベル賞(生物学賞)を受賞されました。受賞対象は、パンダの糞由来の細菌による生ゴミの分解処理に関する研究です。朝日新聞の「ひと」欄(2009/10/27)をはじめ、色々なところで紹介されていましたので、ご存知の方も多いと思います。


 イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prizes)は「裏ノーベル賞」といった感じの賞で、1991年に創設されました。最初の頃は、非常にパロディ性が強い印象があり、あまりまともな賞とは思われていませんでした。日本で注目されるようになったのは、2002年にタカラの犬語翻訳機「バウリンガル」の平和賞受賞あたりからではないでしょうか。1997年の経済学賞「たまごっち」の頃は、まだあまりマスコミには取り上げられませんでした。

 最近ではずいぶん関心を集める賞となり、イグ・ノーベル賞を解説した書籍も結構出されています。最新のものとして、『笑う科学 イグ・ノーベル賞』(PHPサイエンスワールド新書, ¥840)があります。イグ・ノーベル賞の概要を解説した後に、日本人受賞者と受賞対象がかなり詳しく紹介されています。牛糞からバニラの芳香成分を抽出した研究(2007年の化学賞)など、記憶に新しいものもあります。


 イグ・ノーベル賞の創設者であるMarc Abrahams氏による書籍も日本語に翻訳されたものが手に入ります。『イグ・ノーベル賞』(阪急コミュニケーションズ, ¥2,520)『もっと!イグ・ノーベル賞』(ランダムハウス講談社, ¥1,995)です。賞の創設者によるものだけに、いずれもなかなかの力作です。


 『もっと!イグ・ノーベル賞』から6章分を選り抜いて、加筆・修正したものが、『イグ・ノーベル賞 世にも奇妙な大研究に捧ぐ!』(講談社α文庫, ¥686)として最近出版されています。ページ数も価格も手頃ですので、一冊だけ読んでみようというのであれば、おすすめです。


 イグ・ノーベル賞もこれだけ有名になると、受賞を目指すという方も少なからずおられると思います。そんな方には、下の書籍(『めざせイグ・ノーベル賞 傾向と対策』, 阪急コミュニケーションズ, ¥1,365)が役立つかもしれません。


 毎年秋に、本家のノーベル賞が発表されます。しかし、大部分の受賞対象はかなり難解なため、その内容を理解できる方は限られてしまうのが実情ではないでしょうか。日本人が受賞すると、新聞やテレビは大々的に報道しますが、受賞対象よりも受賞者の人柄や生い立ちの方が注目されています。その点、イグ・ノーベル賞は受賞対象がわりあいと理解しやすいものが多く、子どもたちが科学へ関心をもつきっかけにもなりそうです。

 冒頭で紹介した田口先生は、「微生物管理機構」というホームページを運営し、理科好きな子どもたちを増やす努力をされています。田口先生のホームページでは、授賞式の様子も詳しく紹介されています。今回の受賞は、田口先生の理科教育活動にも寄与することでしょう。
その他のトピックス | 14:15 | 2009.11.10 Tuesday |