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トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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乳酸菌で虫歯・歯周病予防

No.82


 「虫歯菌」と「歯周病菌」を抑える乳酸菌を利用したヨーグルトに関する新聞記事が、数か月前にありました。このヨーグルト、広島大学歯学部と愛媛県の四国乳業の共同研究により誕生しました。乳酸菌として、虫歯治療歴のない11歳男児の口内から分離した「Lactobacillus rhamnosus」(製品では、「L8020菌」という名称を使用)を用いています。

 私たちの口には、数百種類あるいはそれ以上の細菌がいると言われています。その中で、「Streptococcus mutans」という細菌が虫歯の原因となっています。また、歯周病を引き起こす細菌として、「Porphyromonas gingivalis」などがあります。私たちが歯を失う原因の9割以上は、これらの細菌による虫歯と歯周病だそうです。

 広島大学の学生に「L8020菌」を使ったヨーグルト80グラムを2週間食べてもらった試験では、通常のヨーグルトを食べた学生に比べ、口腔内で虫歯菌が80%以上、歯周病菌が40〜80%減ったとのことです。乳酸菌が他の細菌の増殖を抑制する働き(抗菌作用)をもつことは古くから知られており、乳酸やバクテリオシンといった抗菌性物質の産生が報告されています。乳酸菌の抗菌性物質については、以前のトピックスでも解説していますので、そちらもご覧ください。


 実は、虫歯や歯周病の予防をコンセプトとする「乳酸菌含有食品」は、冒頭で紹介したヨーグルトが最初のものではなく、すでにいくつかのものが製品化されていました。私の手許にあるものでも、下の写真にあげたような製品があります。なお、これらの製品は、いずれも食品であるため、医薬品のような効能・効果は表示されておらず、「お口の健康」や「口内環境」といったやや曖昧な表現で製品の特徴をアピールしています。

 また、記憶にある方もおられるかもしれませんが、10年ほど前には乳酸菌製剤を利用した「歯みがき法」がちょっとしたブームになったことがありました。私も雑誌などで何度か記事を見かけましたが、下にあげたような本も出版されました。


 このときの「乳酸菌歯みがき法」が、歯周病にどの程度の効果があったのかは不明ですが、現在では乳酸菌を配合した下の写真にあるような「薬用歯みがき」も製品化されています。これらは「医薬部外品」として薬事法に基づく製造販売承認を取得したものですから、「歯周病・むし歯・口臭の予防」といった効能・効果がパッケージに明記されています。

 今回、この原稿を作成するために調べたところ、「オーラルケア」を目的として乳酸菌を利用した製品が結構見つかりました。犬や猫といったペット用のオーラルケア製品の中にも、「乳酸菌培養エキス」などを用いているものがあります。ただ、この種の製品は、詳細なデータ等が示されていないため、実際に乳酸菌がどのような働きをしているのかまではよくわかりません。


 乳酸菌の保健的機能については、これまでに様々なものが明らかにされています。このトピックス欄でも、「抗メタボ作用」「花粉症予防作用」などを紹介しました。乳酸菌は食品や医薬品だけでなく、化粧品素材としても注目されています。今後も、新しいコンセプトの「乳酸菌利用製品」の登場を期待しています。


この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
187:プリン体と戦う(2015/04/27)
94:ビフィズス菌はデリケート(2011/06/11)
86:乳酸菌・ビフィズス菌と特許(2011/02/10)
50:乳酸菌でメタボ対策(2009/08/10)
47:プロバイオティクス・ストロー(2009/06/26)
39:花粉症と乳酸菌(2009/02/25)
6:乳酸菌の抗菌ペプチド・ナイシンが認可へ(2007/10/10)
食品のトピックス | 09:35 | 2010.12.10 Friday |