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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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実物大の家畜図鑑

No.91


 先日、書店で見つけた『ほんとのおおきさ・なかよし動物園』は、なかなかインパクトのある図鑑です。この本は、学習研究社の『ほんとのおおきさ』シリーズの5冊目で、牛や羊といった家畜が中心となっています。子供向けの図鑑ですが、大人も興奮してしまう内容です。

 「ほんとのおおきさ」というのは、もちろん「実物大」を意味しています。研究室の学生さんに、ページを開いた状態で持ってもらったのが下の写真です。大型本であるうえに、さらにページが折り込まれていますので、40 x 100cmほどのポスター状の巨大な写真が出現します。牛の場合は、この大きさでも実物大の写真では、体の一部分しか納まりません。ただ、一本一本の体毛や鼻のうえにいる蝿までが描写されている写真は、実にリアルな感動を与えてくれます。実物の動物の魅力にはかないませんが、じっくりと観察できるという点では実物とは別の魅力もあります。


 同じようなコンセプトの図鑑に、小学館の『本物の大きさ絵本』シリーズがあります。残念ながら、まだ家畜を中心としたものは出されていませんが、『原寸大どうぶつ館』は動物好きにはたまらない図鑑でしょう。こちらも大人が十分に楽しめる内容です。


 ネズミの一種に「カピバラ」という動物がいます。動物園などでもよく展示されていて、大きなネズミとして紹介されていますが、ちょっと離れたところから実物を見るよりも、この図鑑の写真の方が大きさを実感しやすいかもしれません。実物や動画よりも、写真には優れた部分があることを再認識させてくれる図鑑です。こういう本に出会うと、まだまだ紙媒体の本は電子書籍に勝っていると思ってしまいます。


 私が子供のころ見た動物図鑑は、網羅的に非常に多くの種類の動物が掲載されていていました。写真より絵が多かったことも記憶しています。また、せいぜい棲息環境の中での様子が描かれている程度で、今思い出すと、それほどリアルなものではなかったような気がします。それでも、想像をふくらませて楽しんでいました。


 ところで、動物図鑑の類は、昔からかなり多く出版されていますが、家畜に限定したものはそれほど多くなく、専門書以外のものとなるとさらに少なくなります。私の手許には2冊の家畜図鑑があります。一冊は、学生のとき(30年近く前)に購入した『原色家畜家禽図鑑』(保育社)ですが、1964年に出版されたもので当然のことながらすでに絶版となっています(アマゾンなどからは中古品として購入可能)。かなり広範に家畜が収載されていますが、すべて写真ではなく絵です。ただ、図鑑の場合、細部の描写が写真よりも絵の方が優れているということもありますので、今でも時々眺めることがある家畜図鑑です。

 もう一冊の図鑑は、学習研究社の『フィールド図鑑特別版 日本の家畜・家禽』です。2009年出版ですから、かなり新しい本です。帯に書かれていますが、日本の在来家畜・家禽と日本で見られる外国品種約300品種が掲載されています。使われている写真の質が高く、眺めるだけでも楽しめます。随所に挿入されているコラムも充実しており、読み物としても魅力的な本です。秋篠宮文仁親王が監修者の一人であるためか、家畜の歴史や文化的側面が重視されている点も本書の特徴となっています。


 先日、新聞で「坊っちゃんとマドンナちゃんのこどもえほん館」が東京理科大学の神楽坂キャンパスにオープンしたとの記事を見ました。自然や物づくりに関する絵本、図鑑、読み物など約千冊の児童書が閲覧できるとのことです。きっと、今回紹介した「実物大の図鑑」も置かれていることでしょう。中高生を対象とした様々な企画を練っている大学は珍しくありませんが、小さな子供たち向けの施設を設けている大学はあまりないでしょう。長い目で見ると、この種の地道な努力が優秀な学生の確保や大学の評価につながっていくのかもしれません。私も、一度この施設を訪れてみるつもりです。なお、「坊っちゃん」と「マドンナちゃん」は、東京理科大学のイメージキャラクターだそうです。

 「家畜の写真集」でもちょっと触れましたが、今回紹介した図鑑の出版などの様子からも、家畜に対して関心をもつ方が少し増えているのではないかと思っています。そういったうねりが高まってくれるのは、動物資源科学科に勤務している私としては嬉しい限りです。

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その他のトピックス | 10:20 | 2011.04.25 Monday |