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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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プロテオグリカンと弘前大学

No.120


 下の写真の「ふわふーる・ダブルとちおとめ」は、最近、青森県内の企業「ラグノウささき」が発売したものです。従来からあった製品に、「プロテオグリカン」という成分を配合したのが大きな特徴です。


 このちょっと耳慣れないプロテオグリカンについて、パッケージの裏には下のような説明があります。


 プロテオグリカンは、下に示した構造モデルのように、コアタンパク質という部分に糖鎖(グルコサミノグリカン)が結合した糖タンパク質です。コラーゲンやヒアルロン酸とともに、細胞外マトリックスを形成して組織構造を維持しています。プロテオグリカンは、とくに関節軟骨に多く存在しますが、皮膚など生体内に広く分布する物質です。


 従来、牛の気管軟骨や鶏のトサカから抽出されたプロテオグリカンがありましたが、非常に高価であったため、研究用試薬としての利用にとどまっていました。しかし、弘前大学(青森県弘前市)を中心とする研究グループは、サケの鼻軟骨からプロテオグリカンを調製する簡便な方法を開発し、特許を取得しました。この方法により、以前の百分の一程度のコストでプロテオグリカンが入手できるようになり、食品や化粧品への利用の道が開けました。


 弘前大学などによる研究成果から、プロテオグリカンには、①抗炎症(抗アレルギー)、②細胞増殖促進(皮膚再生)、③軟骨再生(関節炎緩和)、④骨代謝異常改善(骨粗しょう症予防)、⑤保湿(肌質保持)といった作用があることが明らかにされています。まだ、コラーゲンやヒアルロン酸ほど素材としての知名度は高くありませんが、徐々に市場に浸透してきているようです。すでに、化粧品や食品分野の23社が、サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンを使用した49品目を製品化したとのことです。


 サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンは、青森県発の機能性素材として、その発展に大きな期待が寄せられています。素材粉末は水溶性に優れ、無味無臭とのことで、その利用範囲は広そうです。今年5月には、青森市にあるデパート(さくら野百貨店)に、プロテオグリカン専門店「アレッラ」(下写真)もオープンしました。この種の地道な努力も、素材の知名度アップに寄与することでしょう。


 プロテオグリカンについて詳しく知りたいという方には、『奇跡の新素材プロテオグリカン』(小学館新書, ¥735, 2012/6)がお勧めです。弘前大学プロテオグリカンネットワークスが監修しているため、学術的データが適切に盛り込まれています。プロテオグリカン応用研究プロジェクトのホームページも、役立ちます。


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164:希少糖と食品(2014/05/12)
126:セラミドと美肌食品(2012/10/10)
115:カタツムリ・ナマコ・キャビア(2012/04/25)
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食品のトピックス | 12:03 | 2012.07.10 Tuesday |