2012.09.10 Monday
食品メーカー発のレシピ本
No.124
前回の「水切りヨーグルトとギリシャヨーグルト」で、乳業メーカー発のヨーグルトレシピ本について触れました。最近、この種の食品メーカー発のレシピ本が数多く登場しているので、手許に集めてみました。昨年6月に出版された『カルピス社員のとっておきレシピ本』(池田書店, ¥809, 2011/6)がそのはしりとして紹介されることが多いようですが、その少し前(2011/1)に『365日チキンラーメンの本』(読売連合広告社 ,¥735, 2011/1)が出されています。
これらの本には数多くのレシピが載っていますが、パッケージやCMだけからでは伝わらない製品の歴史や特徴もわかります。前者には、「カルピスの基礎知識」や「乳酸菌の話」も載っています。カルピスの誕生日は7月7日なので、カルピス本社の社員食堂では毎月7日の「カルピスデー」にはカルピスメニューが登場するそうです。後者にも、チキンラーメンがラストエンペラー(愛新覚羅溥儀)の好物だった話などが紹介されています。
今年(2012年)に入ると、2月には『ヘルシー!豆乳レシピ』(ワニブックス, ¥1000, 2012/2)と『こんぶ茶でつくる玉露園の魔法のレシピ』(河出書房新社, ¥1000, 2012/2)が出版されました。
3月には、『永谷園のお茶づけ海苔でおもてなし』(ぶんか社, ¥880, 2012/3)と『おかめちゃんの納豆レシピ』(ワニブックス, ¥900, 2012/3)が登場しました。長年親しまれてきた定番食品が表紙になっているので、書店で思わず手にとってしまう方も多かったようです。
『ハム係長のとっておきレシピ』(アスペクト, ¥1029, 2012/5)は、「ハム係長」というユニークなキャラクターの登場する4コママンガや独占インタビューが微笑ましい本です。「トリビアならぬハムビアの世界」では、ハム・ソーセージのまじめな解説もされています。本書にしおりとして挟まれているのがハム係長の名刺(下写真右)といった遊び心も、私は気に入りました。
その後も、『ミツカン社員のお酢レシピ』(幻冬舎, ¥1260, 2012/5)、『ヱスビー社員のとっておき赤缶カレー粉レシピ』(池田書店, ¥893, 2012/6)、『砂糖を使わずに生まれた自然の甘さの糀ジャムレシピ』(ワニブックス, ¥900, 2012/6)と続きました。
7月に入ると、『マルコメの糀レシピ』(日本文芸社, ¥1260, 2012/7)、『デルモンテのトマトジュースレシピ』(ワニブックス, ¥900, 2012/7)、『カゴメトマトジュースレシピ』(朝日新聞出版, ¥880, 2012/7)、『三ツ矢サイダーレシピ』(徳間書店, ¥900, 2012/7)と加速しました。この頃になると、大手書店の中には、食品メーカー発レシピ本のコーナーを設けるところも出てきました。
8月以降も、『ポッカ社員公認レモンレシピ』(ワニブックス, ¥900, 2012/8)、『かどやの純正ごま油ごまの香りたっぷりレシピ』(宝島社, ¥920, 2012/9)、『シーチキンレシピ』(ワニブックス, ¥900, 2012/9)と途切れることなく続いています。
レシピ本の出版は、短期間のうちに食品メーカーの戦略として定着した感があります。この種の本に書かれている情報は、メーカーのホームページにも載っていますが、本という形は捨てがたいものがあります。また、これだけ出版点数が増えてくると、本の内容にもさらなる工夫が求められてきます。良質な情報が食品メーカーから消費者に発信されるのは、歓迎すべきことでしょう。
食品のトピックス | 13:35 | 2012.09.10 Monday |