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トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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ちょっと贅沢なヨーグルト

No.129


 この欄では、これまでも個性的なヨーグルトを紹介してきました。「カレーヨーグルト」「世界一高いヨーグルト」は、かなりインパクトのある製品でした。今回は、ちょっと贅沢な感じがするヨーグルトを集めてみました。プレミアム感の強いヨーグルトと言えば、下の写真の「グルメファン」など小岩井乳業の製品が頭に浮かぶ方も多いと思います。グルメファンは生クリームをたっぷり使用することにより、クリーミーで濃厚な製品となっています。


 小岩井乳業からは、「クレマジュエル」や「金色(こんじき)ヨーグルト」といった高級感のあるヨーグルトも出されています。前者は「至福のひととき 芳醇ヨーグルト」というフレーズにより、後者は金色に輝くパッケージにより、手にしたときに気持ちが高揚します。これらも生クリームを使用した製品ですが、クレマジュエルは「オレンジはちみつ」も入っています。以前、ギリシャヨーグルトを紹介したときにも触れましたが、贅沢なヨーグルトにははちみつ風味がよく合うようです。


 パッケージの色は、プレミアム感を演出する重要な要因です。「蒜山ジャージー 贅沢ヨーグルト」と「ホテルオークラ クリームチーズヨーグルト」の濃紺のパッケージ色は、いかにも高級な感じがします。もちろん、「ジャージー」とか「ホテルオークラ」にも心が揺れます。なお、岡山県の蒜山(ひるぜん)は、ジャージー牛を多く飼育している地域として知られています。ジャージー乳は脂肪含量が高いため、アイスクリームやヨーグルトといった乳製品に向いています。


 フルーツはヨーグルトと相性のよい素材なので、これを利用した製品もたくさん登場しています。旬の果実を使った期間限定品や、贅沢に多種類の果肉を加えた製品などが目に留まります。


 そんな中で、「グリコ朝食プレミアムリッチアロエヨーグルト」には驚かされました。パッケージに「大粒アロエたっぷり」とありますが、250グラムという大容量の中にこれでもかというくらいに大粒のアロエ片が入っています。金色のパッケージもインパクトがあります。「自分のためのちょっと贅沢なヨーグルト」だそうです。


 地域のメーカーや団体などでも、ヨーグルトを作っているところが多くあります。特徴のある製品とするために、ネーミングやパッケージに工夫しているものが目立ちます。「高原からの贈り物ヨーグルト」(奥中山高原農協乳業、岩手県一戸町)、「ゆめヨーグルト」(おおのミルク工房、岩手県洋野町)、「酪農家限定ヨーグルト」(サツラク農業協同組合、札幌市)をあげておきます。


 下の写真のヨーグルトは、高千穂牧場(宮崎県都城市)のものです。高千穂牧場では、ジャージー種を中心に約100頭の乳牛を飼育しています。写真の製品は、いずれも「ノンホモ」牛乳を使用しています。市販されている大部分の牛乳は、乳脂肪を細かくした「ホモ牛乳」です。ノンホモ牛乳は、乳脂肪が大きいままなので、静置しておくとクリームが上部に浮かび上がってきます。ノンホモ牛乳を使用したヨーグルトも上部に濃厚なクリーム層が形成され、これが製品の特徴にもなっています。


 十和田市から近い青森県新郷村では、ヨーグルトなど乳製品の製造が盛んに行われています。写真の製品は、「飲むヨーグルト ザ・プレミアム」です。ラベルの輝きからもプレミアム感が伝わってきますが、お味の方もなかなかのものです。地元の搾りたての生乳を原料にするなどの工夫をした製品です。


 新郷村は青森県における酪農発祥の地で、酪農に力を入れた地域振興が行われています。下の写真の乳牛(ホルスタイン)は、新郷村のマスコットとして一昨年に登場した「モ〜もいカオリ」ちゃんです。お腹を押すと、モ〜と鳴きます。


 ところで、現在、ヨーグルトなど発酵乳製品の大きな柱になっているのが、「プロバイオティクス」という概念を導入したものです。簡単に言えば、お腹の中で良い働きをする乳酸菌やビフィズス菌を利用するという考えです。しかし、下の写真の製品に注目したのは、プロバイオティクスという点よりもパッケージの表現です。「おなかにおいしいヨーグルト」と「からだにぜいたくヨーグルト」と書かれています。体に良いだけでなく、なんだか美味しそうな感じがするフレーズです。なお、右側の製品「SBL88」に使用されている乳酸菌は、ストレス性睡眠障害改善効果が報告されているものです。


 さて、ヨーグルトと呼ぶにはちょっとためらいがありますが、下の写真の製品を見つけました。「子宝 鳥海山麓ヨーグルト」という製品名ですが、アルコール8%のれっきとしたお酒です。裏面のラベルには、ヨーグルトリキュールと書かれています。見方次第では、「贅沢な」ヨーグルトの一つでしょう。


 最後に、数日前に近所のコンビニで見つけた「森永練乳ヨーグルト」を載せておきます。「練乳」と共に郷愁を誘うパッケージデザインに心を奪われました。食べてみると、練乳を使った「こく甘仕立て」がちょっぴり贅沢に感じられました。酸味の強いヨーグルトは苦手という方に向いている製品だと思います。


 今回、「ちょっと贅沢な」というよりは、「ちょっと気になる」ヨーグルトをいくつか紹介してみました。難しいことにはほとんど触れませんでしたので、ヨーグルトや乳酸菌についてもっと知りたいという方のために、お勧めの本を2冊あげておきます。『あなたの知らない乳酸菌力』『ヨーグルトに隠された乳酸菌の秘密』です。いずれもわかりやすい記述の本で、市販製品の紹介にもページを割いていますので、ヨーグルト選びにも役立つことでしょう。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
262:贅沢なヨーグルト「みるころ」(2018/06/11)
258:塩・糖・脂(2018/04/10)
253:輸出されるヨーグルト(2018/01/25)
147:トルコの乳酸発酵飲料「アイラン」(2013/08/30)
140:日本で最初のヨーグルト(2013/05/10)
135:ビスコと乳酸菌(2013/02/25)
123:水切りヨーグルトとギリシャヨーグルト(2012/08/27)
108:ホットヨーグルトの魅力(2012/01/10)
79:世界一高いヨーグルト(2010/10/25)
66:オルニチンと大人のヨーグルト(2010/04/12)
60:宇宙を旅したヨーグルト(2010/01/12)
43:幻のカレーヨーグルト(2009/04/27)
食品のトピックス | 15:24 | 2012.11.27 Tuesday |