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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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青森県産の乳・肉・卵

No.131


 先日、近所のスーパーの棚に下の写真の缶詰を見つけました。「牛肉大和煮」、「豚肉スタミナ源たれ味」、「桜姫鶏スタミナ源たれ塩味」の3種です。なお、十和田市の特産品「スタミナ源たれ」については、こちらの記事をご覧ください。


 これらの缶詰はいずれも、青森県産の原料を使用した株式会社宝幸の製品です。缶には、「青森の正直」と「決め手は、青森県産」というフレーズが印刷されています(下写真)。「青森」ブランドが商品価値を高めるのに役立っていれば、県民として嬉しい限りです。

 青森県産品の認知度向上とイメージづくりを進めるため、ピーアール用キャッチフレーズやシンボルマークが作られています。下にあげた相撲の行事姿のイメージキャラクターもあります。


 青森県の農産物と言えば、「米」や「りんご」の生産量が圧倒的に多く絶対的な地位にあります。しかし、水産物や野菜類にも全国的な知名度を誇るものがあり、「ほたて」や「にんにく」などをあげることができます。下の写真は、青森ほたてのイメージキャラクター「ホタテちゃん」と十和田市に隣接する六戸町で見かけた看板です。


 では、乳・肉・卵といった畜産物はどうでしょうか?農林水産省の畜産統計調査などで都道府県中の順位(飼養頭・羽数)を調べてみると、乳用牛19位、肉用牛13位、豚8位、ブロイラー4位、採卵鶏11位でした。また、手許にあった青森県畜産課がまとめた「青森県の畜産」という冊子(下写真)を眺めると、とくに乳用牛の飼養頭数が平成に入って大きく減少しているのが気になりました。


 青森県内には、かつて雪印乳業や明治乳業などの牛乳処理工場がありましたが、現在では大手乳業メーカーの工場は県内にありません。事実上唯一の牛乳工場は、弘前市の萩原乳業が操業するものです。八戸市や十和田市のある県南地域には工場がないため、この地域の生乳は岩手県などに運ばれています。下には、萩原乳業の牛乳パッケージを2種あげました。「青森県産萩原牛乳」と「アビタニア・ジャージー・ミルク」です。萩原乳業は、青森県産牛乳にとって実に貴重な存在です。


 次に、青森県産の食肉に目を向けてみます。十和田市近隣でも肉牛の姿をよく見かけますが、県南地域では肉牛生産が盛んです。南八甲田などでは、かなりの規模での放牧も行われています。下の写真は、八甲田湯ノ台高原の放牧牛の様子です。


 青森県でも取引価格の高い和牛の生産が増えており、黒毛和種の「倉石牛」や「田子牛」、日本短角種の「八甲田牛」や「十和田牛」などの銘柄牛があります。倉石牛などは品評会で高評価を得ることにより、高級牛肉として全国的な知名度が上昇しています。また、青森県の肉用牛の半数程度を占める乳用種の「あおもりディリービーフ」は、安価で美味しい牛肉として人気があります。


 青森県の豚肉飼養頭数は全国8位と、ベストテン入りしています。これには、八戸市にある飼料コンビナートの存在などが関係していると言われています。「銘柄豚」生産への取り組みも盛んになりつつあります。以前この欄で紹介した「奥入瀬ガーリックポーク」など、現在10種類以上の銘柄豚が生産されています。スーパーの店頭では、「十和田産黒豚」などのステッカーが貼られた豚肉もよく目にするようになっています。なお、十和田市における豚の飼養頭数は、県内市町村で最多を誇っています。


 青森県はブロイラー生産が盛んで、飼養羽数は全国4位という堂々たるものです。地鶏などの地域特産鶏の生産も、積極的に取り組まれています。代表的な地鶏に、「青森シャモロック」があります。青森県畜産試験場の長年にわたる研究により誕生した地鶏で、テレビ番組などで取り上げられたこともあり全国的な評価を得ています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。また、透き通るような桜色の肉の銘柄鶏「桜姫」の生産が、青森県でも盛んになってきています。


 青森県は、採卵鶏の飼養羽数も全国11位と健闘しています。特殊卵を中心とするブランド卵の生産も盛んですが、「青森」を強調したものは少ないようです。下の写真の「青い森のたまご」は、青森県産のお米で育てられた産卵鶏により生産されたものです。トキワ養鶏の取り組み「飼料用米を活用した養鶏飼料の自給率アップ 飼料用米の活用が日本を救う!」は高く評価され、2009年度「フード・アクション・ニッポンアワード」で大賞と農林水産大臣賞をダブル受賞しました。


 下にあげた書籍『北の食彩 旬はいま』では、青森県を中心とする北東北の食材が紹介されています。地元紙「東奥日報」に2004年から2007年にかけて連載された記事151回分をまとめたものです。青森県産の畜産物として、イノシシ(脇野沢村)、肉牛(十和田市)、ひつじ(階上町)、豚(七戸町)、ダチョウ(十和田市)、乳牛(七戸町)、鶏肉(五戸町・三沢市)、鶏卵(蓬田村)、馬肉(五戸町・旧金木町)、キジ(七戸町)、蜂蜜(八戸市)、鴨(つがる市・おいらせ町)が載っています。現時点での生産量が少ないものも、将来、地域特産品として大きく発展する可能性があります。いくつかのものについては、あらためてこの欄で紹介したいと思っています。


青森県の畜産についての情報は、青森県畜産課のホームページからも得ることができます。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
219:青い森の機能性食品素材ハンドブック(2016/08/25)
184:あおもりハサップ(2015/03/10)
183:青天の霹靂(2015/02/25)
170:鹿児島黒豚と桜島どり(2014/08/09)
143:『馬肉新書』(2013/06/25)
141:6次産業化とレストラン「NARABI」(2013/05/27)
98:馬肉の魅力(2011/08/10)
92:青森シャモロックホームズ(2011/05/10)
89:震災と牛乳(2011/03/25)
80:奥入瀬ガーリックポークと銘柄豚(2010/11/10)
76:ジャージー牛乳とジェラート(2010/09/10)
74:口蹄疫と和牛肉(2010/08/10)
45:想いやり生乳と加熱殺菌乳(2009/05/25)
44:卵かけご飯ブーム(2009/05/11)
食品のトピックス | 11:29 | 2012.12.28 Friday |