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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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世界にパンを、「救缶鳥」プロジェクト

No.132


 「救缶鳥」プロジェクトを御存知でしょうか。栃木県那須塩原市にある株式会社パン・アキモトが展開している国際義援事業です。同社の缶詰の形をしたパンフレット(下写真)によると、パンの缶詰「救缶鳥」は、3年の賞味期限のうち2年間を購入者が非常食として備蓄した後に回収して、義援物資として飢餓に苦しむ国々に送られます。東日本大震災の際にも、被災地に届けられました。


 災害備蓄用パンの缶詰は、以前に少し紹介したことがありましたが、救缶鳥プロジェクトは備蓄後のことまでを考えています。秋元義彦社長がこのプロジェクトを思いついたきっかけは、自治体担当者から「賞味期限切れの缶詰を処分してほしい」との連絡を受けたことや、スマトラ沖地震の際に現地の知人から「売れ残ったパンでもいいから送ってくれ」との要請があったことだったそうです(日経ビジネス 2012/10/15掲載の記事による)。


 救缶鳥は通常の非常食用パンよりもサイズが大きく、現地では空缶を食器として利用するケースも多いとのことです。パンとしても品質の高いもので、独自の製法で作られているやわらかく美味しい非常食です。缶をお湯で温めてから開けると、焼きたてのパンのようです。


 非常食の美味しさの大切さについては、以前にも触れましたが、救缶鳥はこの点でも優れています。なお、救缶鳥には、「レーズン」、「オレンジ」、「イチゴ」の3種類が用意されています(下の写真はレーズン)。


 15缶で12,000円という値段を少々高いと感じる方もいるでしょうが、単なる非常食用の備蓄パンとは異なる付加価値の高められた製品であることを考えると妥当な価格にも思えます。救缶鳥プロジェクトに参加して、ささやかな国際貢献をしてみてはいかがでしょうか。缶の側面にはメッセージ欄があり、現地の方々に思いを伝えることもできます。


 私が救缶鳥プロジェクトを知ったのは、日経ビジネス誌(2012/10/15)の「世界に誇る日本の商品100」という記事でした。かつて世界を席巻したメイド・イン・ジャパン製品の神話が崩れつつある中で、なおキラリと光る事業や製品も多く存在するという内容です。食品関係でも、「味の素」や「カップヌードル」といった著名な国際的ブランドだけでなく、ナイジェリアやガーナで知らない人はいない「ゲイシャ缶」(サバのトマト漬け)などが取り上げられています。また、この記事によると、江崎グリコの「ポッキー」は、海外では「ミカド(MIKADO)」という製品名で人気があり、すでに国内での販売数量を上回っているとのことです。


 日本は恵まれた国内市場を有していたため、これまで食品企業の多くは海外市場をそれほど重視してきませんでした。しかし、国内市場が縮小しつつあり現在、否が応でも方向転換が迫られています。今回取り上げた救缶鳥は、直接海外市場をターゲットとした製品ではありませんでしたが、グローバルな視野により誕生したものです。昨年夏にはロスアンゼルスに現地法人(パン・アキモトUSA)を設立し、海外事業展開も目指しているようです。アキモトのパンは、2009年にNASAのスペースシャトルに搭載された実績もあります。

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213:地球と食の未来(2016/05/25)
180:牛肉の大和煮缶(2015/01/10)
144:ミドリムシが世界を救う!?(2013/07/10)
102:缶詰の日(2011/10/11)
89:震災と牛乳(2011/03/25)
54:美味しい非常食(2009/10/09)
食品のトピックス | 11:04 | 2013.01.10 Thursday |