2013.04.11 Thursday
ウンチの本
No.138
ちょっと躊躇しましたが、今回はこのようなタイトルにしました。きっかけは、『大便通(だいべんつう) 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌』(辨野義己著, 幻冬舎新書, ¥819, 2012/11)という本を読んだことでした。著者である理科学研究所の辨野(べんの)先生は、腸内細菌研究の第一人者でテレビにもよく登場する著名な方です。
この本を読むと、書名に怪訝な顔をされた方も腸内細菌や大便研究の魅力に引き込まれると思います。 腸内細菌は私たちの健康にとって重要な存在で、 「プロバイオティクス」 をうたったヨーグルトのような乳製品が多く登場しています。 プロバイオティクスと呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌の多くは、ヒトの腸管由来の細菌です。 もっと踏み込むと、大便から分離された菌がかなり使用されています。 しかし、ヨーグルトのパッケージには、決して 「大便から分離したビフィズス菌」 などとは書かれていません。
大切なこととはわかっていても、「大便」や「ウンチ」といった文字が食品のパッケージに刷られることはありません。せいぜい、「腸内細菌」程度の表現です。では、書籍のタイトルの場合は、どうなのでしょうか。『大便通』にはちょっと驚かせられましたが、探してみると「ウンチ」や「ウンコ」がタイトルに入っている本が、思いのほかたくさん見つかりました。とくに「ウンチ」の絵本は多く、下にあげた『うんち』(金の星社, ¥893, 2012/9)や『みんなうんち』(福音館書店, ¥945, 1981/2)などがあります。幼少期からこういった絵本を見ていれば、ウンチに対する偏見もなくなるでしょう。
この種の絵本は海外にもあるようで、『うんちしたのはだれよ!』(偕成社, ¥1365, 1993/11)はドイツ人の作家と画家によるものです。日本の絵本とは違った雰囲気でウンチが描かれています。この本の画家であるエールブルッフ氏は、国際アンデルセン賞・画家賞受賞と帯に書かれています。
小学生が学校でウンチをするとからかわれるというのは、昔からある大きな問題でした。最近では、自宅で洋式トイレを使っているため、学校の和式トイレが使えない子供もいるという話も聞きます。こういった問題に応える小学校低学年向けの『がっこうでトイレにいけるかな? うんちのえほん』(ほるぷ出版, ¥1365, 2004/8)や『わたしたちうんこ友だち?』(今人舎, ¥1470, 2012/11)といった絵本もあります。『がっこうでトイレにいけるかな?』には、なんと「できるかな?れんしゅうトイレ原寸大和式便器ポスター」が付録です。ポスターといっても床に置いて使います。ウンチのパーツも付いていて練習ができるようになっていますが、実戦でうまく活かせるのかは少々疑問に感じました。
『動物おもしろカミカミうんち学』(少年写真新聞社, ¥1680, 2012/11)や『ずらーりウンチならべてみると』(アリス館, ¥1575, 2004/3)は学習書といった内容で、真面目にウンチのことを知りたい小学生の知識欲を満たすことでしょう。『ずらーりウンチをならべてみると』は、いろいろな動物のウンチの写真がかなりリアルで、最初にページを開いたときにちょっと面食らいました。
大人向けのウンチの本もあります。お勧めの一冊として、『ウンココロ しあわせウンコ生活のススメ』(実業之日本社, ¥580, 2010/11)をあげます。ふんだんに使われている寄藤文平氏のイラストがなんとも魅力的です。少し刊行から年月が経ってしまいましたが、『ウンコに学べ!』(ちくま新書, ¥714, 2001/10)も名著だと思います。
『ウンチは人格だ!ウンコミュニケーションBOOK』(ぱる出版, ¥1470, 2006/9)は、冒頭で紹介した『大便通』の著者である辨野先生によるものであり、第一人者がわかりやすく解説しています。『うんこのふしぎ 排便のだいじ』(農文協, ¥1400, 2003/2)は、長く小学校教育にかかわった方による著作で、教育現場における経験を踏まえた真面目な教育書といった感じの内容です。
最後に、書名に「ウンチ」や「ウンコ」は入っていないものの、内容的に関係の深い「腸」の本を2冊あげておきます。『見た目の若さは、腸年齢で決まる』(PHPサイエンス・ワールド新書, ¥840, 2009/12)は、またもや辨野先生の著作ですが、「うんち力を鍛える」方法など実践的な情報が得られます。『腸!いい話』(朝日新書, ¥756, 2011/11)も、腸と健康の関係を知るための好著です。
その他のトピックス | 15:28 | 2013.04.11 Thursday |