2013.04.25 Thursday
黒マグロの解体フィギュア
No.139
先日(2013/4/16)、「解体フィギュア・黒マグロ」なるものが発売されました。築地のマグロ卸業者「山和」の渡辺和義社長が、自ら企画開発したことで評判になっています。少々高価な商品ですが、私も思い切って注文しました。
届いたダンボールの「黒マグロ」という文字に色めき立った学生さんもいましたが、「解体フィギュア」の文字にちょっとがっかりした様子でした。かなり凝った商品で、ダンボールやその中の発泡スチロールの容器も本物のマグロが入っていそうなものになっています。下の写真は、ダンボールを開けたところです。
さらに、発泡スチロールの蓋を開けると、黒マグロが姿を現します。この黒マグロのフィギュアは、全長33センチのかなりリアルなものです。ただ、生態模型ではなく、築地市場で取引されている黒マグロをイメージし、実際の解体を疑似体験できるのがミソです。
このフィギュアは、解体作業を体験できるように12個のパーツにより構成されています。パーツ内に入っている強力な磁石で、お互いのパーツがくっつくようになっています。
学生さんが手にしているのが完成品の黒マグロです。もちろん、何回でも解体をすることができ、組み立てやすい立体パズルといった感じです。
付属品も充実しています。マグロ解体用の卸包丁(おろしほうちょう)や卸台(おろしだい)も、実際に利用されているものを再現したとのことです。これらを使って、ディスプレイを楽しめます。
捌かれた状態の個々の部位は、部位ごとの色具合やトロの霜降り状態などがよく再現されています。マグロは解体すると、空気との接触により色素タンパク質であるミオグロビンが誘導体変化(酸化など)して色調が変化しますが、そのあたりの様子も苦心して表現したとのことです。
マグロの外貌にもこだわりがあり、体表の傷などをあえて入れることにより本物に似せています。アップで見ると、なかなか凛々しい顔をしています。
私の専門は乳・肉・卵といった畜産物ですが、水産物にも関心を持っています。牛や豚といった家畜から得られる食肉(畜肉)は、マグロなどの魚肉とかなり共通性が高いものです。たとえば、畜肉と魚肉のタンパク質はよく似ており、主要なタンパク質であるミオシンやアクチンに大きな違いはありません。また、ミオグロビンの酸化により貯蔵中に肉色が変化する現象も、両者で同様のものです。
食品のトピックス | 12:50 | 2013.04.25 Thursday |