<< October 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

<< 6次産業化とレストラン「NARABI」 | main | 『馬肉新書』 >>

講談社ブルーバックスが50周年

No.142


 今年9月に「講談社ブルーバックス」が創刊50周年を迎えます。若い頃にブルーバックスに親しんで、科学技術への関心を深めたという方は多いと思います。1963年に書かれた「発刊のことば」にあるように、ブルーバックスシリーズは「読む人に科学的に物を見る目を養っていただくこと」を最大の目標としています。対象とする科学の範囲は広く、私の関係する畜産食品関連でも、『食べ物としての動物たち』(伊藤宏著, ¥987, 2001/8)『牛乳とタマゴの科学』(酒井仙吉著, ¥945, 2013/5)などがあります。


 『インフルエンザパンデミック 新型ウイルスの謎に迫る』(河岡義裕・堀本研子著, 講談社ブルーバックス, ¥922, 2009/2)は、この分野の第一人者による優れた著作ですが、一番印象に残ったのは河岡先生の「あとがき」でした。本書を執筆する際に、共著者である若い堀本先生はブルーバックスの存在をご存知なかったとのことでした。河岡先生も「栄枯盛衰・盛者必衰」と書かれていますが、ブルーバックスの存在もだいぶ変わったようです。


 実際、私も若い研究者の方や大学院生に尋ねたところ、予想以上にブルーバックスを知らない方が多いことがわかりました。大型書店にはブルーバックスが配架された棚(下写真)が必ずありますが、手に取る人は少ないようです。


 新書サイズの科学入門書として、2006年に発刊されたソフトバンククリエイティブの「サイエンス・アイ新書」があります。ブルーバックスに比べると、カラーの図や写真が多く親しみやすい構成となっているものが多いようです。「マンガでわかる」や「カラー図解でわかる」としたものも多く、ビジュアルがウリのひとつのようです。


 また、2009年には、PHP研究所の「PHPサイエンス・ワールド新書」も発刊されました。こちらはビジュアルはさほど重視していないようで、読み物としての面白さで勝負しているものが多いように感じられます。


 新規参入の科学系新書シリーズの中で、ブルーバックスも人気回復を目指しています。創刊50周年を記念し、「前書き図書館」が今年オープンしました。インターネットで立ち読み感覚が味わえるよい試みだと思います。


 ブルーバックスシリーズでは、今春も興味深い新刊書が出されました。私が手に入れて読んだものとして、下の3点(いずれも2013/4出版)がありますが、どれもお勧めしたい内容です。


 1961年にソ連の宇宙飛行士ガガーリンが残した言葉に「地球は青かった」があります。1963年創刊のブルーバックスの名前が、これに由来していることを今回初めて知りました。ブルーバックスの刊行点数は1800以上、累計の発行部数は7000万部を超えているそうです。今日数多くある新書シリーズの中で、ブルーバックスの歴史は岩波新書と中公新書に次ぐものとのことです。老舗としてよい新刊書を出し続けていただきたいものです。


 最近(2013/5)、新たな新書サイズのサイエンスシリーズとして丸善出版の「サイエンス・パレット」が創刊されました。現時点で出版されているのは5点だけですが、今後のラインナップの充実が楽しみです。選択の幅が広がるのは読者として嬉しいことですが、乱立による共倒れがないことを願っています。

この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
244:食の歴史(2017/09/11)
138:ウンチの本(2013/04/11)
124:食品メーカー発のレシピ本(2012/09/10)
96:工場見学本の出版ラッシュ(2011/07/11)
その他のトピックス | 11:40 | 2013.06.11 Tuesday |