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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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トルコの乳酸発酵飲料「アイラン」

No.147


 先日、出張でトルコを訪れたので、今回はトルコに関連した話です。トルコは、ヨーグルト発祥の地として知られています。英語の“yoghurt”の語源は、古いトルコ語の“yogurmak”(「攪拌する」あるいは「濃厚にする」という意味)だと言われています。


 しかし、トルコのスーパーマーケットに並べられているヨーグルトの種類は案外少なく、日本の賑やかなヨーグルト売場に見慣れていると、少々がっかりします。いわゆるプロバイオティクス製品の類も多くありません。下の写真は乳製品売場の様子ですが、チーズに比べるとヨーグルトの棚は地味な印象でした。


 ただ、日本ではまず見られない2〜5リットルほどの巨大な容器に入ったヨーグルトの存在感はなかなかのものです(下の写真の下段)。このあたりは、1人あたりのヨーグルト消費量が世界一と言われるトルコ(日本の5倍強)ならではという感じがします。


 さて、トルコの代表的な飲料として、「アイラン」があります。今年3月(2013/3)に雪印メグミルクから、「トルコ風塩入り発酵飲料 アイラン」という製品が発売されたので、お試しになった方もいると思います。親日的な国ということもあり、日本でのアイラン発売はトルコでちょっとしたニュースになったそうです。


 雪印メグミルクのパッケージ(上写真右)に書かれているように、アイランは「ヨーグルトに水と塩を入れたもの」です。市販のプレーンヨーグルトに等量程度の水を加え、適量の塩を混ぜれば、日本でも簡単にアイランができます。トルコでは家庭でも作られていますが、スーパーやコンビニなどで市販製品(下写真)も簡単に手に入ります。


 塩味のヨーグルト飲料というのは、この味に慣れていない日本人が口にすると違和感があります。しかし、肉料理などと一緒に摂ると、さっぱりとした美味しい飲料に感じられます。暑さの厳しいトルコでは、塩分補給という意味もありそうです。なお、トルコの屋台や飲食店では、アイラン専用の泡立て器(下写真)が置かれているところもあり、ビールのような泡で覆われたアイランが出されます。これがアイラン本来の姿とのことです。


 トルコでは、外資系ファーストフード店にもアイランが置かれており、驚かされました。下の写真は、マクドナルドのオリジナルパッケージのアイランです。トルコでの食生活には欠くことのできない存在なのでしょう。


 トルコ料理は、世界3大料理の一つに数えられています。フランス料理や中華料理に比べるとやや存在感が薄いものの、素材を生かした薄味は日本人の口にも合います。そんなトルコ料理の重要なパートナーであるアイランも、日本の食卓に定着する日がくるかもしれません。


 最後にトルコの食に関する書籍として、『世界の食文化9 トルコ』(農山漁村文化協会)をあげておきます。残念ながら発酵乳に関する記述は少ないのですが、トルコという国を食から理解することができる貴重な1冊です。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
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174:インドの乳・乳製品事情(2014/10/10)
162:インドネシアの食品市場(2014/04/10)
161:インドネシアの発酵食品(2014/03/29)
150:モンゴルの「白い食べ物」(2013/10/10)
149:トルコアイスとサーレップ(2013/09/25)
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129:ちょっと贅沢なヨーグルト(2012/11/27)
123:水切りヨーグルトとギリシャヨーグルト(2012/08/27)
122:塩分補給食品(2012/08/10)
108:ホットヨーグルトの魅力(2012/01/10)
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60:宇宙を旅したヨーグルト(2010/01/12)
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食品のトピックス | 01:01 | 2013.08.30 Friday |