2013.08.30 Friday
トルコの乳酸発酵飲料「アイラン」
No.147
先日、出張でトルコを訪れたので、今回はトルコに関連した話です。トルコは、ヨーグルト発祥の地として知られています。英語の“yoghurt”の語源は、古いトルコ語の“yogurmak”(「攪拌する」あるいは「濃厚にする」という意味)だと言われています。
しかし、トルコのスーパーマーケットに並べられているヨーグルトの種類は案外少なく、日本の賑やかなヨーグルト売場に見慣れていると、少々がっかりします。いわゆるプロバイオティクス製品の類も多くありません。下の写真は乳製品売場の様子ですが、チーズに比べるとヨーグルトの棚は地味な印象でした。
ただ、日本ではまず見られない2〜5リットルほどの巨大な容器に入ったヨーグルトの存在感はなかなかのものです(下の写真の下段)。このあたりは、1人あたりのヨーグルト消費量が世界一と言われるトルコ(日本の5倍強)ならではという感じがします。
さて、トルコの代表的な飲料として、「アイラン」があります。今年3月(2013/3)に雪印メグミルクから、「トルコ風塩入り発酵飲料 アイラン」という製品が発売されたので、お試しになった方もいると思います。親日的な国ということもあり、日本でのアイラン発売はトルコでちょっとしたニュースになったそうです。
雪印メグミルクのパッケージ(上写真右)に書かれているように、アイランは「ヨーグルトに水と塩を入れたもの」です。市販のプレーンヨーグルトに等量程度の水を加え、適量の塩を混ぜれば、日本でも簡単にアイランができます。トルコでは家庭でも作られていますが、スーパーやコンビニなどで市販製品(下写真)も簡単に手に入ります。
塩味のヨーグルト飲料というのは、この味に慣れていない日本人が口にすると違和感があります。しかし、肉料理などと一緒に摂ると、さっぱりとした美味しい飲料に感じられます。暑さの厳しいトルコでは、塩分補給という意味もありそうです。なお、トルコの屋台や飲食店では、アイラン専用の泡立て器(下写真)が置かれているところもあり、ビールのような泡で覆われたアイランが出されます。これがアイラン本来の姿とのことです。
トルコでは、外資系ファーストフード店にもアイランが置かれており、驚かされました。下の写真は、マクドナルドのオリジナルパッケージのアイランです。トルコでの食生活には欠くことのできない存在なのでしょう。
トルコ料理は、世界3大料理の一つに数えられています。フランス料理や中華料理に比べるとやや存在感が薄いものの、素材を生かした薄味は日本人の口にも合います。そんなトルコ料理の重要なパートナーであるアイランも、日本の食卓に定着する日がくるかもしれません。
最後にトルコの食に関する書籍として、『世界の食文化9 トルコ』(農山漁村文化協会)をあげておきます。残念ながら発酵乳に関する記述は少ないのですが、トルコという国を食から理解することができる貴重な1冊です。
食品のトピックス | 01:01 | 2013.08.30 Friday |