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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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アグー豚 vs 石垣牛

No.148


 先日、羽田空港の売店で、「アグー豚 vs 石垣牛の対決弁当」という空弁(そらべん)を見つけました。さして空腹でもなかったのですが、その魅力的なパッケージに惹かれて、思わず買ってしまいました。


 蓋を開けると、下の写真のようになっています。左側が「雪塩シークワーサーだれ」のアグー豚、右側が「こだわり焼肉だれ」の石垣牛です。両者の勝ち負けを言ってもあまり意味はありませんが、私は石垣牛の方にインパクトの強さを感じました(肉の上に載っているゴーヤもプラス評価)。


 一説では、琉球に豚が入ったのは14世紀のことで、明国からのものだったそうです。やがて改良が進み、沖縄在来種の「アグー」となったと言われています。しかし明治以降、収益性の高い外来種が主流になり、アグーは「幻の豚」と呼ばれるほど少なくなりました。アグーは体が小さく繁殖力も弱い豚ですが、食味のよさは特筆すべきものがあり、再び注目されるようになりました。なお、豚肉として販売される場合、「あぐー」というひらがな表記を目にします。「あぐー」はJAおきなわが商標登録した「銘柄(ブランド)豚」で、琉球在来種「アグー」の血を50%以上有するように交配して生産された豚肉と定義されています。


 一方の「石垣牛」は、松阪牛などと同じく「銘柄(ブランド)牛」のひとつです。現在、銘柄牛の95%以上はサシ(脂肪交雑)が入りやすく高値で取引される黒毛和種のものですが、石垣牛も純粋な黒毛和種の去勢牛あるいは雌牛の肉です。石垣牛を商標登録しているJAおきなわは、沖縄県八重山郡で生産されることなど、石垣牛としての条件を定めています。石垣牛は、九州・沖縄サミット(平成12年)の晩餐会でメインディッシュとして供され、その評価と知名度が一気に向上しました。


 あぐーも石垣牛も、地方のスーパーや精肉店ではまず見かけませんが、インターネットを利用すれば、簡単に入手できます。今回、「アグー豚 vs 石垣牛」というタイトルにしたこともあり、両者を食べ比べてみました。下の写真は、手に入れたあぐー(バラ)と石垣牛(ロース)です。どちらも脂肪が実に美味しそうに見えます。しゃぶしゃぶにしたところ、私はあぐーに軍配を上げました。一方、挽肉を使ったハンバーグの場合、石垣牛の圧勝に感じられましたが、あくまでも個人的な感想です。


 沖縄の観光ガイドの類を見ると、グルメにかなりのページを割いており、「アグー豚 vs 石垣牛」のような形で評判のお店を紹介しているものも多いようです。今回、現地で確かめることができませんでしたが、ぜひ近いうちに本場であぐーと石垣牛を堪能したいと思っています。


 最後に、沖縄とお肉に関心をお持ちの方に、ベストな一冊をあげておきます。『沖縄肉読本』(東洋企画, ¥1890, 2010/1)です。今回の話題に関連した本で、これ以上のものはありません。


この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
237:マンガリッツァは国宝の豚(2017/05/27)
222:北里大学のコラボ食品(2016/10/11)
206:TPPと牛肉・豚肉(2016/02/10)
171:鼻焼肉(2014/08/25)
170:鹿児島黒豚と桜島どり(2014/08/09)
146:お肉検定(2013/08/10)
143:『馬肉新書』(2013/06/25)
141:6次産業化とレストラン「NARABI」(2013/05/27)
131:青森県産の乳・肉・卵(2012/12/27)
92:青森シャモロックホームズ(2011/05/10)
80:奥入瀬ガーリックポークと銘柄豚(2010/11/10)
78:もも肉でもロース(2010/10/12)
74:口蹄疫と和牛肉(2010/08/10)
食品のトピックス | 13:20 | 2013.09.11 Wednesday |