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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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イスラム市場とハラル食品 

No.163


 「インドネシアの発酵食品」「インドネシアの食品市場」と、インドネシアの話題が続きました。インドネシアは最もイスラム教徒の多い国で、人口2億4千万人うち約2億人を占めています。今、世界で16億人と言われるイスラム市場に熱い視線が向けられています。下にあげたのは経済誌の表紙ですが、最近、「イスラム」や「インドネシア」の特集がよく目につきます。


 イスラム市場を考えるうえで重要なこととして、「ハラル(Halal)」があります。ハラルは、「イスラム法で許されたもの」という意味です。とくに、食品の分野の話として取り上げられることが多いようです。イスラム教徒が豚肉を忌避するということは、よく知られています。しかし、鶏肉や牛肉も、イスラム法のルールで扱わなければ、食する対象とはなりません。下の写真は、インドネシアのスーパーの精肉売り場で見かけたハラルの表示です。ここに並べられている鶏肉や牛肉は、定められた方法で飼育や屠畜などが行われているということです。


 加工食品では、パッケージにハラルの認証マークが付けられているものを、イスラム圏の国々では普通に目にします。下の写真は、インドネシアのコンビーフ缶です。緑色のマークの中央に、「HALAL」の文字があります。


 イスラム教徒には忌避される豚肉ですが、インドネシアにはキリスト教徒やヒンドゥー教徒もいます。豚肉を原料としている場合は、下の製品のように豚のマークを付けて一目で分かるようにしているものが多いようです。


インドネシアのスーパーでは、ちょっと探してみると、ハラル認証マークのある食品がたくさん見つかります。とくに海外メーカーの製品では、パッケージに認証マークが付けられているものが目立ちます。下のパッケージは、日清の即席麺と味の素の調味料ですが、いずれも緑色のマークがあります。なお、味の素の「Masako」は、現地では非常に人気のある調味料です。インドネシア語の「Masak(料理をする)」からの造語とのことです。


 コカ・コーラやポカリスェット(下写真右)のような清涼飲料水の類にも、認証マークが付けられています。原料を考えると、あまりハラル上の問題はないような製品ですが、外国製品ではこのマークがないと市場で受け入れられないようです。


 お菓子の類にも、認証マークが付けられたものが結構見つかりました。海外からイスラム圏の食品市場に進出をする場合、もはやハラル対応は必須なようです。


 食品以外でも、口に入れたり、皮膚に触れたりするものは、ハラル対応をする必要があります。下にあげたのは、歯磨きペースト(左)とスキンケア用品(右)です。豚皮コラーゲンを原料とした化粧品などは、もちろんハラル認証を得ることはできません。医薬品も対象となりますので、動物由来の原料(臓器、血液、酵素など)を使用しているものは注意が必要です。


 日本国内でも、ハラル認証を得た食品を製造するメーカーが増えつつあります。以前、青森県の地鶏「青森シャモロック」を紹介したことがありました。現在、青森県・五戸町にある加工施設からは、ハラル認証マークを付けた鶏肉加工品が出荷されています(下写真)。


 ハラル食品を製造するためには、工場などの施設がハラル認証を得る必要があります。各国にあるイスラム教関連団体が審査・認証をしますが、新たな設備投資やイスラム教徒の雇用などが必要となります。上記の青森シャモロックの加工施設では、バングラディシュ出身のイスラム教徒の方を雇用しています。ハラル市場やハラル認証について解説した書籍が、昨年から今年にかけて何冊か出版されています(写真下)。国によっても、だいぶ事情が異なるようです。


 世界人口の4分の1を占めるというイスラム教徒の市場は巨大です。人口減少による国内市場が縮小しつつある日本の食品産業にとっても、ハラル市場は魅力的な存在です。また、イスラム圏からの観光客や留学生を誘致するためにも、対応する必要があります。早稲田大学など留学生の多い大学の食堂では、すでにハラルメニューを提供しています。

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食品のトピックス | 15:11 | 2014.04.25 Friday |