2014.10.27 Monday
インドのベジタリアン食品表示
No.175
インドでは、ほとんどの加工食品には、下のどちらかのマークが付けられています。これらのマークは、インドで約3割を占めるベジタリアンのためのものです。
前々回、 「インドの食肉事情」 で食肉市場の活況をお伝えしました。 一方でインドは、 食肉の類を摂取しないベジタリアンが多い国でもあります。 多くのレストランのメニューには、 「ベジタリアン」 と 「ノンベジタリアン」 のメニューが記されています(下写真)。
ベジタリアンと言っても、一切の動物性食品を摂取しない「ヴィーガン」から、乳・乳製品や卵・卵製品は摂取する「ラクト・オボ・ベジタリアン」まで、様々です(下表)。
インドでベジタリアンと言う場合、表中の「ラクト・ベジタリアン」を指すことが多いようです。冒頭のマークは、ベジタリアンが摂取できる食品かどうかを示したもので、緑色のマークは肉も卵も含まない加工食品のパッケージに見られます。茶色の方は、肉あるいは卵を原料に含む食品のマークです。
上の写真にあるインドの乳製品は、ベジタリアンが摂取可能な食品として、すべて緑色のマークが付けられています。下の写真は、インドで販売されている日清のインスタント麺です。いずれも右上の角に小さなマークがあります。左の「スパイシーベジタブル」には緑色のマーク、右の「チキンラーメン」には茶色のマークです。
インドの加工食品は、肉や卵を原料としたものがそれほど多くないので、緑色のマークが付いた食品が圧倒的に多くなっています。下の写真のチキンソーセージは、私がインドで見つけた数少ない茶色のマークが付いた食品です。
緑色のマークは、飲料や歯磨きペーストなど、口に入るものには付けられています。下に示したのは、コカ・コーラです。このあたりの事情は、以前「イスラム市場とハラル食品」で紹介した「ハラル食品」とよく似ています。
ベジタリアンの状況など、インドの「食」に関して広範に論じられている書籍として、下記の『世界の食文化8 インド』をあげておきます。インドでベジタリアンマークが導入された経緯についても、詳しい記述があります。
蒲原聖司氏による『ベジタリアンの健康学』と『ベジタリアンの医学』は、健康の観点からベジタリアンの食生活を論じたものです。いずれも新書で読みやすい本ですが、肉食をやや否定的に扱ってしているところが少し気になります。
下にあげた『ベジタリアンの世界』は、かなり本格的なベジタリアンに関する書籍で、学術書といってよいかもしれません。ベジタリアンの歴史的あるいは宗教的な背景が詳しく論じられています。じっくりと勉強したい方にはお薦めの一冊です。
イスラム圏のハラル市場やインドのベジタリアン市場は、海外で事業展開をする食品企業にとっては重要なターゲットです。イスラム圏もインドも、人口増加や経済発展が著しいので、これらの市場の成長も、当分続くことでしょう。
食品のトピックス | 10:25 | 2014.10.27 Monday |