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トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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バレンシア中央市場

No.176


 先月(2014/10)、スペイン第3の都市バレンシア(下地図参照)を訪れる機会がありました。


 地中海に面し、温暖な気候なバレンシアは、魅力的なリゾート都市です。下の写真は、バレンシア旧市街と中心部に近いビーチのものです。


 バレンシア一帯は食材が豊かな地域でもあり、バレンシア中央市場は欧州でも最大級の規模を誇っています。約100年前に建設されたこの市場は、歴史的建造物と言えるほど立派なものです(下写真)。


 数年前に改装され、一段と明るく清潔な市場となり、旅行者でも安心して訪れることができます。天井の高い市場内は、開放感のある空間です(下写真左)。中央部で頭上を見上げると、見事なドームに驚かされます(右)。


 まずは、食肉関係の店舗の様子を紹介します。清潔な精肉店は市場らしさが乏しい感じがしないでもありませんが、それぞれの店舗は特徴があり、お気に入りの店を利用しているのでしょう(下写真)。


 一軒の精肉店の前に、牛と豚の肉の部位を解説したポスターが貼ってありました(下写真)。なかなか詳しいもので、この国の消費者の意識を反映しているのかもしれません。


 最近、日本でも熟成肉がよく話題になりますが、熟成中の牛肉の様子が見えるガラス張りの熟成庫を使用している店が目を引きました(下写真)。


 内臓などの副産物を扱う店も多くありますが、きれいに洗浄したものを几帳面に並べているため、グロテスクな感じがまったくしません。下の写真は、豚と牛の脚(左)と牛の胃袋(右)です。


 慣れない方が海外の市場に行くと、豚や牛の頭部にぎょっとするというのはよくある話です。しかし、この市場では、あまり驚かないかもしれません。下の写真のショーケースの奥に豚の頭がありますが、静かに鎮座していました。


 スペインの市場で誰もが感動するのは、大量の生ハムの原木が並んでいる光景でしょう。スペインを訪れるのが5回目の私でも、記念写真を撮りたくなります(下写真左)。アップの眺めも迫力があります(右)。


 職人さんが慣れた手つきで生ハムをカットする様子も、 見とれてしまうものです (下写真左)。 生ハムを使ったサンドイッチのお店もあり、 陽気な店員さんがポーズをとってくれました(右)。 この店の壁には、「日の丸」 と 「ハモン・イベリコ」 の文字がありました。


 私は、スペインの食肉製品は、世界一だと思っています。生ハムも素晴らしいですが、ソーセージ(下写真)の種類の多さと美味しさは、特筆に値します。


 地中海に面したバレンシアは、 海の幸も豊富です。 市場では、 刺身で食べられるというマグロの塊や鯛らしき魚など、 日本人好みの魚介類を手に入れられます (下写真)。


 エビ(下写真左)の種類が多いことと、タコ(右)やイカの人気が高いことも、この地域の大きな特徴と言えるでしょう。


 シャコ(下写真右)があったのも驚きましたが、パエリアの材料として普通に使われているとのことです。日本で「カメノテ(亀の手)」と呼ばれる甲殻類(右)も、人気のある食材のようです。


 「カラスミ話す」という意味不明の日本語を見かけました(下写真)。店員に聞くと、カラスミの価格交渉に応じるということでした。カラスミ(ボラ卵巣の加工品)はバレンシア周辺でも生産されており、これを求めてやってくる日本人がいるそうです。


 バレンシア周辺は温暖な気候に恵まれているため、果実や野菜も豊富です。市場内にも、果実や野菜、キノコなどを扱う店舗がたくさんあります(下写真)。


 バレンシアオレンジ(下写真左)やブドウ(右)、スイカなどが目立ちました。日本の果実があまりに甘いため、海外で美味しいものに出会うことはまれです。しかし、バレンシアの果実は、なかなか甘くて美味しいと思います。


 トマト(下写真)は、スペイン料理では欠かせない食材です。日本のものに比べると、だいぶ大き目のサイズです。


 カボチャを多く見かけましたが、ハロウィンが近かったためかもしれません(下写真)。焼きカボチャ(右)も美味とのことです。


 キノコの種類が割合と多かったのは、ちょっと意外でした。キノコ店の前で、熱心に品定めをしている2人がいました(下写真)。


 チーズも、スペインを代表する食品ですので、市場内に専門店がいくつかあります(下写真左)。スペインのチーズは、羊や山羊の乳が原料とするものが多いのが特徴のひとつですが、日本ではくせがあると言って敬遠する方もいます。ところで、「パン」は、スペイン語でも「パン(Pan)」です(右)。


 おしゃれな店員さんが立っているのは、 オリーブオイルの専門店です。 詳しいことはわかりませんが、 スペインでは目的に応じて様々なオリーブオイルを使い分けるそうです。


 スペインを訪れる観光客の大部分は、第3の都市バレンシアまで足を延ばすことはありません。もちろん、マドリードやバルセロナは魅力的で、大きな食料品市場もあります。しかし、治安の問題もあり落ち着かない面があります。その点、バレンシアは安心して過ごすことができます。バレンシアは見どころの多い街ですが、なかでも今回紹介した中央市場は、お勧めの場所です。

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食品のトピックス | 12:11 | 2014.11.10 Monday |