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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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フリーズドライステーション

No.177


 フリーズドライ(Freeze Drying,凍結乾燥)法は、食品などを急速凍結し、真空状態で水分を昇華させる乾燥法です。加熱を伴う熱風乾燥法などに比べて、風味や栄養を損なうことが少ないのが大きな特徴です。日本古来の食品である高野豆腐や寒天の製法も、フリーズドライ法の一種と言えます。


 米国で1960年代にフリーズドライ法によるインスタントコーヒー(下写真)が登場し、従来の熱風乾燥法に比べて風味に優れていたためヒットしました。日本でも、1971年にフリーズドライで調製した具材がカップヌードルに採用されて以降、徐々にこの技術が普及してきました。


 天野実業株式会社は、フリーズドライ食品を主力製品としています。この会社が、昨年(2013/3)東京駅(丸の内口)近くの「KITTE」内にオープンしたのが、「アマノフリーズドライステーション」です(下写真)。


 ここでは、みそ汁、スープ、どんぶり、リゾット、シチューなど、多種類のフリーズドライ食品が揃えられています。壁に、人気商品ベストテンが貼ってありました(下写真)。


 2014年10月の人気上位3商品は、「味わうおみそ汁 焼きなす」、「味わうおみそ汁 炒め野菜」、「小さめどんぶり 麻婆なす丼」(下写真)でしたが、いずれもなかなか美味でした。


 「松茸三昧セット」(下写真)のような比較的高額な商品もあります。カタログを見ると、ギフト向け商品も充実してきているようです。


 いただいたパンフレット(下写真)によると、フリーズドライ食品の特徴として、①つくりたての美味しさが味わえる、②栄養素が損なわれにくい、③お湯を注ぐだけで簡単・便利、④長期保存ができる、⑤軽いので持ち運びに便利、があげられています。このような特徴を有する食品が、宇宙食にも多く採用されているのはうなずけます。


 天野社以外からも、フリーズドライ食品は多く出されており、スーパーの店頭でも結構目にします。汁物以外では、野菜や果物を素材としたものがあり、下の写真は「みつば」と「ゆず」のフリーズドライ食品です。


 また、「山芋とろろ」や「大根おろし」といったものもあります。パッケージに、「これは便利!」とありますが、少家族が増えているのでこの種の食品の需要も伸びているのでしょう。


 ペットフードにも、フリーズドライ製品があります。下の写真は、鶏ささみ肉を用いた犬と猫の「健康おやつ」です。


 今回紹介したアマノフリーズドライステーションは、東京・丸の内の商業施設「KITTE」内にあります。「KITTE」というネーミングは、「切手」と「来て」に由来するそうです。旧東京中央郵便局を保存・再生した部分と新築部分からなっています。全国の食品販売店舗などが多数出店している魅力的な場所です。年末には、豪華なクリスマスツリー(下写真)も楽しめます。


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72:ロングセラー食品の秘密(2010/07/12)
食品のトピックス | 11:47 | 2014.11.25 Tuesday |