2014.12.25 Thursday
パエリアの故郷
No.179
先月(2014/11/10)、スペインのバレンシア中央市場の様子を紹介しました。このバレンシアは、日本でもお馴染みのスペイン料理「パエリア」の発祥の地でもあります。バレンシアのビーチ沿いには、パエリアのレストランが軒を連ねています。
『パエリャの故郷 バレンシア』という本を読んだことがあり、バレンシア郊外の「エル・パルマール」というパエリアが誕生した村のことが気になっていました。バレンシアを訪れた機会に、4年前に私たちの研究室に滞在していたエリザベスさんにお願いして、連れて行ってもらいました。
バレンシアの中心部から、20キロほどのところに、「アルブフェラ湖」があり、そのほとりにエル・パルマールがあります。下の地図では、上方がバレンシア中心部で、下方にある青色の部分がアルブフェラ湖です。湖の下に「P」とあるところが、エル・パルマールです。なお、右側の青色部分は、地中海です。
古くアルブフェラ湖周辺に入植したイスラム教徒たちが、豊富な水を利用してこの辺りを一大稲作地帯に作り上げました。水田が拡大した分、湖は小さくなりましたが、今でも十分に広大です(下写真)。
この湖はウナギの宝庫で、観光船の船頭さんが舛網(ますあみ)を使ったウナギの捕り方を説明してくれました(下写真)。また、アルブフェラ湖は野鳥の生息地としても知られ、200種類以上の渡り鳥がやってくるとのことでした。
近年、日本ではウナギの稚魚不足が深刻ですが、バレンシア市内のスーパーには大量のウナギ稚魚のパッケージ(下写真)が並べられていて驚きました。この辺りでは、成魚だけでなく稚魚もよく食べるそうです。
エル・パルマールは小さな村ですが、パエリアやウナギ料理を売りにするレストランがたくさんあり、週末はかなり賑わうそうです。私が訪れたのは平日の日中だったため、メインストリートも閑散としていました(下写真)。
エリザベスさんお勧めのお店で最初にいただいたのは、ウナギのブツ切りとジャガイモを煮込んだ料理でした。バレンシアの郷土料理として有名な一品とのことです。日本では馴染みのないウナギの食べ方ですが、味の方はまずまずでした。
続いて出てきたのが、お米と魚介類を煮込んだリゾット風の料理でした。米の産地なので、パエリア以外にも米料理は多いそうです。
メインディッシュは、シャコのパエリアでした。パエリアに使用される具材は多く、魚介類、肉類(鶏、蛙、ハム・ソーセージなど)、野菜など、様々なものがあります。シャコはバレンシア中央市場でも目にしましたが、この地方では人気のある食材のひとつです。下の写真は、パエリアを前にしたエリザベスさんとご主人のJuanさんです(9月にご結婚)。
バレンシアに限らず、スペインは食の豊かな国です。そんなスペインの食に関心のある方のために、2冊の本をあげておきます。『スペインは味な国』はちょっと古い本ですが、写真が豊富です。『世界の食文化 スペイン』は、情報量の多いしっかりとした本です。
バレンシアは、マドリード、バロセロナに次ぐスペイン第3の都市ですが、日本から訪れる方はそれほど多くありません。以前紹介したバレンシア中央市場や今回のアルブフェラ湖周辺など、魅力的なところが多くあります。スペインに行く機会がある方には、お勧めしたい場所です。
食品のトピックス | 13:02 | 2014.12.25 Thursday |