<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

<< 牛肉の大和煮缶 | main | メリーさんの羊乳 >>

牛乳の気になる噂

No.181


 日本人一人当たりの牛乳・乳製品の消費量は、1980年代にお米を抜かしました(下グラフ参照)。加工品や調理品での摂取も多いので、実感に乏しいかもしれませんが、日本人の主食と言ってもよい位置にあるのが牛乳・乳製品です。


 長い間、体に良いと言われてきた牛乳・乳製品ですが、そうではないという話もときどき聞こえてきます。昨年暮れにも、スウェーデン・ウプサラ大学のミケルソン教授らが発表した研究成果をマスコミが取り上げました。週刊誌の表紙に、「牛乳を飲むと骨が弱くなる」と大きく書かれていました。


 研究内容については紹介しませんが、 「この研究結果は、人々に牛乳を飲まないよう勧めるものではない。 ひとつの結果であり、大きなパズルのワンピースでしかない。」 とミケルソン教授も言っているようで、少々大げさに取り上げられた感は否めません。


 牛乳が体に良くないという説(牛乳有害論)を主張した本として、2005年に出版された新谷弘実氏の 『病気にならない生き方』 が有名です。この本の影響は大きく、「牛乳乳製品健康科学会議」 から新谷氏に 「公開質問状」 が出されました。 これに対する新谷氏からの「回答書」、さらに牛乳乳製品健康科学会議からの「見解」も公表されました。 一連の資料は、「全国牛乳商業組合連合会」のホームページでご覧になれます。


 その後も、『牛乳を信じるな!』(2007)『なぜ「牛乳」は体に悪いのか』(2010)といった牛乳有害論を展開した本の出版が続きました。


 『乳がんと牛乳』は、イギリスで2000年に出版された『Your Life in Your Hands』の翻訳書で、日本では2008年に出版されました。乳製品を断つことによって乳がんを克服した著者の体験談が、世界的に注目されました。


 牛乳の有害性を、一方的に展開する本が多い中で、『牛乳は体に悪いのか』(2007)は、中立的な立場から牛乳を論じ、「牛乳はひとつの食品。体に良くも悪くもない。」と書かれているところに、私は共感を持ちました。


 牛乳有害論に対して、乳業関連団体はホームページなどからの情報発信を行っています。たとえば、「一般社団法人Jミルク」は、「牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!」というページを設けています。牛乳に関する18個の「気になるウワサ」について、参考資料をあげて解説しています。


 先日(2015/1)、『牛乳は子どもによくない』という本が出版されました。著者は、『乳がんと牛乳』の訳者である佐藤章夫氏(山梨医科大学名誉教授)です。乳業関係者にとっては気になる本がまた増えましたが、なかなか興味深く読むことができました。ただちに、牛乳を飲まない方がよいという気持ちにはなりませんでしたが、学術的な情報も多く盛り込まれており、牛乳に関心のある方にとっては一読に値する内容に思えました。


 昨年、燕三条市の学校給食メニューから牛乳が消えるというニュースがありました。私もテレビ番組から電話で取材を受けましたが、あまり歯切れのよいコメントをすることができませんでした。ただ、牛乳が学校給食に絶対に必要だとは思えず、選択肢のひとつかと考えています。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
229:大人のための粉ミル(2017/01/25)
194:ライスミルク(2015/08/10)
172:ミルクランド・北海道(2014/09/09)
166:ブラウンスイスミルク(2014/06/10)
145:「おいしい牛乳」の秘密(2013/07/25)
119:甘い牛乳(2012/06/25)
97:牛乳美人(2011/07/25)
90:『ミルク世紀』(2011/04/11)
77:体に良い食品なんてない!(2010/09/27)
45:想いやり生乳と加熱殺菌乳(2009/05/25)
食品のトピックス | 12:15 | 2015.01.26 Monday |