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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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メリーさんの羊乳

No.182


 今年は未(ひつじ)年なので、今回は「羊乳」です。日本では、羊乳はほとんど飲まれていませんが、羊乳を原料とする輸入チーズが入手できます。代表的な羊乳チーズとして、フランスの「ロックフォール(Roquefort)」(写真左)やスペインの「マンチェゴ(Manchego)」(右)があります。


 これらの羊乳チーズは、東京のデパートなどでは割とよく目にします。上の写真のものは、「チーズ・オン ザ テーブル」の大丸東京店で購入しました。東京駅近くという便利さに加えて、親切な店員さんと品揃えからも、お勧めしたいチーズ専門店です。


 北海道美深町の松山牧場は、羊の生産や羊乳・肉製品の製造を行っています。 未(ひつじ)年ということもあって、注目されている牧場です。 実は、私も羊乳そのものを飲んだことがなかったので、松山牧場の 「シープミルク」 (下写真) を手に入れてみました。


 飲む前は、山羊乳に似た風味かと思っていましたが、まったく違っていました。ちょっとクセのある味ですが、なんとも濃厚です。それもそのはずで、タンパク質や脂質が牛乳や山羊乳の約2倍も含まれています(下表)。濃厚な乳を生産するジャージー牛も、濃さの点では勝負になりません。


 松山牧場の羊乳製品の中で、私は「メリーさんのひつじヨーグルト」(下写真)が気に入りました。羊乳の風味はヨーグルトと相性がよく、クリーム感たっぷりの美味しい製品になっています。パッケージもなかなか魅力的です。


 「メリーさんのひつじチーズ」は、冒頭で紹介したロックフォールのような主張の強いものではなく、優しい風味のしっとりとしたナチュラルチーズです。ラベル(下写真)には、「国産唯一の羊乳チーズ」とあり、貴重な存在と言えそうです。


 ところで、松山牧場の製品名にも使われている有名な「メリーさんのひつじ」は、いつどこにいた羊だったのでしょうか。調べてみると、200年ほど前のアメリカ・マサチューセッツ州に、メリー・エリザベス・ソウヤーという動物好きな女の子がいたそうです。「メリーさんのひつじ」という詩と曲は、優しいメリーと可愛い羊との実話に基づいた作品でした。もっと詳しいことが知りたいという方は、『メリーさんのひつじ ほんとうにあったおはなし』という絵本を読んでみてください(下写真)。



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食品のトピックス | 07:39 | 2015.02.10 Tuesday |