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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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青天の霹靂

No.183


 青森県民の方であれば、今回のタイトルを見てすぐに、「コメ」の話であることがわかると思います。先日(2015/2/19)、食味のよいコメを目指して青森県が開発した新品種「青天の霹靂(へきれき)」が、日本穀物検定協会の「コメ食味ランキング」で、青森県産米としてはじめて最高評価の「特A」を取得しました。


 これまで青森県は、北海道・東北地方の中で唯一「特A米」がない県でした。青森県知事が目を潤まして喜ぶ姿がテレビで伝えられましたが、まさに悲願成就だったようです。「青天の霹靂」は、味の良い「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」の流れを組み、食味を追及して開発されました。下の系統図の右端にある「中部73号」が「コシヒカリ」の孫にあたり、「おきにいり」が「ひとめぼれ」の子にあたります。甘さが際立ち、粘りが強く冷めてもおいしいコメが誕生したとのことです。



 昨年の夏、「青系167号」という新しいコメに対し、青森県が名前を募集しました。1万件以上の応募の中から選ばれたのが、「青天の霹靂」です。これまでのコメの名前は、「あきたこまち」や「ゆめぴりか」に代表されるように女性的な軟らかいものが多かったので、「青天の霹靂」は男性的で力強い名前と評価されています。コメのイメージに合わないとか、漢字が難しいといった批判もあるようですが、私はインパクトのあるよいネーミングだと思います。


 ところで、全国的な豊作とコメの需要低迷が続いており、これに伴ってコメの市場価格も低下しています。このような状況に加えて、生産調整の廃止やTPPの参加などの不安材料も控えています。現在、青森県産米の主力品種は「つがるロマン」ですが、この品種米でさえ、すでに全国平均を約2000円下回り(60キロ当たり)、有名ブランド米とは価格で大きな差をつけられています(下表)。


 今回の「特A」評価獲得は吉報ですが、2014年産のコメでこの評価を得た銘柄は42もあり、それほど希少性の高いものではありません。今後、「青天の霹靂」が全国区ブランドとして普及するかは、PR戦略が大きなカギを握っています。青森県ではPR活動に予算を確保し、様々な策を練っています。若手県職員からイケメン5人を選んで、「イケメン食べさせ隊」を結成するという計画もあるようです。なお、青森県が「青天の霹靂」のホームページを開設しましたので、そちらもご覧ください。

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219:青い森の機能性食品素材ハンドブック(2016/08/25)
184:あおもりハサップ(2015/03/10)
131:青森県産の乳・肉・卵(2012/12/27)
92:青森シャモロックホームズ(2011/05/10)
80:奥入瀬ガーリックポークと銘柄豚(2010/11/10)
食品のトピックス | 15:35 | 2015.02.25 Wednesday |