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トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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あおもりハサップ

No.184


 前回に続いて、青森県の話題です。青森県は、食品の衛生管理に取り組む企業を支援するために、県独自の認証制度「A-HACCP(あおもりハサップ)」の運用を始めました。


 「HACCP(ハサップ)」は、「Hazard Analysis Critical Control Point」の略称です。下の図(滋賀県のホームページから転載)で、日本語の部分をつなげると、「危害分析重要管理点」となります。


 従来の品質管理の方法は、「抜き取り検査」と呼ばれるものでした。たとえば、工場で1万個作られるハンバーグの中から10個だけ抜き取って、品質を確認するというものです。この方法だと、残り9,990個の製品の品質に不安が残ります。ハサップでは、完成製品から全体の状況を推測するのではなく、原材料や製造工程での危害の原因を明確にして、これらを重点的に管理します(下図参照)。ハサップのプランが適切に設定・運用されていれば、その製造ラインで作られるすべての製品の安全性が確保されます。


 日本食品衛生協会のホームページを参考にして、「カレー」という食品を例にして説明します。カレーの製造工程に「煮込み」がありますが、この工程での危害として「食中毒菌の生残」があげられます。発生要因として加熱温度・時間の不足があり、防止措置として十分な加熱温度・時間の確保が考えられます。そのうえで、管理基準(温度と時間)を設けて、定められた方法で工程を観察します。もし、基準を満たしていない場合は、改善措置として再加熱を行ないます。この間の記録を残すことも重要です。このように、HA(危害分析)とCCP(重要管理点)を、システムとして管理する手法がハサップ(HACCP)です。


 ハサップには、7原則というものがあります(下表)。また、これらをハサッププランに盛り込む前に5つの手順(説明省略)を経ることが必要で、7原則と5手順をあわせたものが、「ハサップ導入のための12手順」と呼ばれています。厚生労働省の認証制度である「総合衛生管理製造過程」は、このようなハサップの考え方を取り入れた制度ですが、中小の事業者にとっては認証を得るハードルが少々高いようです。


 「あおもりハサップ(A-HACCP)」では、記録を必要最小限にとどめるなど、事業者が取り組みやすいように手順が簡略化されています。希望事業者は、保健所の指導を受けながら計画を作成し、保健所の現地調査や製品検査により衛生管理状況を検証します。これらを経て、青森県が審査し認証をします。先日(2015/2/20)、最初の認証式が行われ、基準を満たした食品製造・加工23事業者に、認証マークが渡されました。認証を受けると、施設や製品に認証マークを掲げることができるなど、衛生管理に取り組む姿勢をアピールできるメリットもあります。


 「あおもりハサップ」のような地方自治体による認証制度は、「地域ハサップ」と呼ばれていますが、全国で徐々に増えています。以下にマークをあげた「いばらきハサップ」「とちぎハサップ」などがあります。


 余談ですが、「あおもりハサップ」や「いばらきハサップ」という言葉を耳にしたとき、何かに似た響きだと気になっていました。しばらくして、「いろはすハスカップ」だとわかり、スッキリしました。「いろはすハスカップ」は、コカ・コーラブランドの天然水「いろはす」の北海道限定製品です。おそらく、昨夏に北海道を訪れたとき目にしたのでしょう。


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183:青天の霹靂(2015/02/25)
131:青森県産の乳・肉・卵(2012/12/27)
92:青森シャモロックホームズ(2011/05/10)
80:奥入瀬ガーリックポークと銘柄豚(2010/11/10)
食品のトピックス | 11:25 | 2015.03.10 Tuesday |