2015.04.10 Friday
機能性ペプチドの書籍を監修
No.186
5年ほど前(2009/8)に、『機能性ペプチドの最新応用技術 −食品・化粧品・ペットフードへの展開−』(有原圭三監修,シーエムシー出版)という書籍が出版されました。ペプチドに関する専門書が少なかったこともあり、多くの技術者や研究者の方々に利用していただきました。今回(2015/4/3)、機能性ペプチドに関する最新情報を提供するために、続編とも言える『機能性ペプチドの開発最前線』(有原圭三監修,シーエムシー出版)が刊行されました。
本書は、4編26章(240ページ)から構成されています。まず、第Ⅰ編「総論」では、機能性ペプチドの科学と利用について、7章にわたって記述されています。これらの章に目を通すことにより、機能性ペプチドの概要をつかむことができるでしょう。
【第Ⅰ編 総論】
- 第 1 章 機能性ペプチドの科学
- 第 2 章 食品・ペットフードにおける機能性ペプチドの利用
- 第 3 章 化粧品分野におけるペプチド
- 第 4 章 ペプチド医薬品
- 第 5 章 家畜生産とペプチド
- 第 6 章 機能性ペプチドの探索技術
- 第 7 章 特許情報から探る機能性ペプチドの研究開発動向
第Ⅱ編「食品」は、機能性ペプチドの用途として食品が大きな位置を占めることから設けました。前書との重複を避け、各章の執筆者には最新の情報を提供していただきました。2015年度から食品の機能性表示制度が導入されますが、機能性ペプチドの利用においても追い風となるかもしれません。
【第Ⅱ編 食品】
- 第 8 章 食品の熟成・発酵中における機能性ペプチドの生成
- 第 9 章 食品で注目されるペプチドの機能
- 第 10 章 腸管バリア保護ペプチド
- 第 11 章 ペプチドに由来する味と香り
- 第 12 章 ナイシンと抗菌ペプチドとしてのリゾチーム
第Ⅲ編「化粧品・オーラルケア」は、本書の大きな特徴と言えるでしょう。化粧品関連の領域では、ペプチド素材に対する関心が大きいものの、機能性ペプチドについての情報源が比較的少なかったようです。本書第Ⅲ編は、この領域で研究開発に携わる方々に有用な情報を提供できるものと思っています。
【第Ⅲ編 化粧品・オーラルケア】
- 第 13 章 界面活性ペプチド
- 第 14 章 アンチエイジング効果と抗菌作用を併せ持つ機能性ペプチド素材の開発
- 第 15 章 毛髪表面構造に着目して開発した植物ペプチド由来のヘアコンディショニング成分
- 第 16 章 コメ由来生体防御ペプチドの多機能性を活用した素材の開発
第Ⅳ編「製品開発事例」では、食品、化粧品、ペットフードといった領域における機能性ペプチド素材やペプチドを利用した製品の開発事例を紹介しています。本書は製品開発への寄与を大きな目的としていますが、とくに第Ⅳ編はペプチドを利用した製品や新たな素材の開発において即戦力となることを念頭に置きました。
【第Ⅳ編 製品開発事例】
- 第 17 章 イワシ由来ペプチド
- 第 18 章 ペプチド配合ミルク
- 第 19 章 大豆ペプチドの血圧降下作用を活用した「まめちから大豆ペプチドしょうゆ」の開発
- 第 20 章 メイラードペプタイド
- 第 21 章 ペプチドを利用した機能性と嗜好性に優れたペットフードの開発
- 第 22 章 コラーゲンペプチド
- 第 23 章 界面活性作用を有する環状リポペプチド「サーフェクチン」
- 第 24 章 食欲抑制素材“酵母ペプチドDNF-10”の抗肥満作用
- 第 25 章 Perfection Peptide P3 −皮膚を若返らせる生体模倣落屑作用ペプチド−
- 第 26 章 化粧品素材としてのマリンジェンペプチドMP(PF)
本書は、機能性ペプチド関連領域の第一線で活躍する産学官32名により執筆されています。前回の『機能性ペプチドの最新応用技術 −食品・化粧品・ペットフードへの展開−』を執筆された方は3名にとどまっており、本書には新たな魅力が盛り込まれました。前書と共に、本書を多くの方々に活用していただきたいのですが、価格の面から企業や大学図書館等における購入に限られてしまうのかもしれません。ご関心のある方は、出版社のホームページに掲載されている案内だけでもご覧になってください。詳細な目次が掲載されていますので、機能性ペプチド領域のキーワードやトレンドを知ることができると思います。
ペプチドのトピックス | 11:40 | 2015.04.10 Friday |