2015.05.11 Monday
特許情報プラットフォーム
No.188
前回の「プリン体と戦う」で紹介した「明治プロビオヨーグルトPA-3」のパッケージには、「特許取得」と書かれています(下写真)。食品などのパッケージや広告では、「特許取得」や「特許出願中」といった文字をよく目にします。このような特許の内容は、簡単に調べることができます。
「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」は、経済産業省所管の独立行政法人である「工業所有権情報・研修館」が、今年3月(2015/3/23)から運営しているインターネットサービスです。特許庁が1993年に開設した「特許情報図書館(IPDL)」を引き継ぐ形で発足しました。下に示したのが、「特許情報プラットフォーム」のトップページです。ここでは、提供されているサービスのごく一部を紹介します。
特許情報を検索する場合、トップページの画面中央にあるボックスに適当なキーワードを入れます。なお、複数のキーワードを使用する場合は、間にスペースを入れ、右端のボックスを「AND」にします。初期設定の「OR」のままだと、複数のキーワードのいずれかを含む結果が得られてしまいます。下には、検索例を示しました。
この例は、「明治」と「プリン体」の2つのキーワード両方を含む特許出願を検索する場合のものです。「検索」ボタンをクリックすると、「ヒット件数」が表示されます。
「明治」と「プリン体」を含む特許出願は、「3件」ありました。「一覧表示」をクリックすると、以下のようなリストが現れます。「発明の名称」や「筆頭出願人」から見たいものを選び、青字の「文献番号」をクリックすると、出願内容を知ることができます。冒頭にあげた製品の特許について知りたい方は、この手順で調べてみてください。
通常、2つ以上のキーワードを組み合わせて検索しないと、ヒット件数が多過ぎます。下の表に示したように、「食品」や「化粧品」といった一般的な語で検索すると、1万件以上の特許出願がヒットします。「食品」と「ペプチド」のような2つの語の組み合わせでも千件以上とまだ多く、さらに「血圧」などの3番目の語を加えることにより、ほどほどの件数に絞り込めます。
なお、検索に用いるキーワードは、上にあげたような用語のほかに、「出願人(企業・大学名)」や「発明者(研究・技術者)」なども使用することができます。iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥先生の名前で検索すると、53件の特許出願がヒットしました。なお、人名を用いる場合は、同姓同名に注意する必要があります。
これまで特許検索の経験がなかった方は、上記の方法でもかなりの情報が得られると思います。すでに「特許情報図書館(IPDL)」を利用していた方なら、トップページの「特許・実用新案」のプルダウンメニューから、「特許・実用新案テキスト検索」などを選択して行うのがよいでしょう(下画面)。IPDLと似たインターフェースで検索が行えます。また、特許情報プラットフォームでは、「J-GLOBAL検索」の機能が加わったため、特許情報と同時に学術論文の検索を行えるようになった点は、大きな進化と言えるでしょう。
「特許情報プラットフォーム」では、ブランド名や製品名といった「商標」の検索を行うこともできます。その場合、トップページ左端のボックスを「商標を探す」に変え、キーワードを入力します。下の例では、「ペプチド」で検索し、38件のヒットがありました。
「一覧表示」をクリックした際の画面の一部(30〜34件目)を、下に示しました。32件目にある「a-iペプチド」は、私たちの研究室とアイシア株式会社が共同開発したペットフード素材に名付けたものです。新製品を開発した場合、企業では商標の登録状況を調べつつ、ネーミングを考えるのが通常です。よいネーミングだと思って使っていたら、商標を侵害していたという話も耳にすることがあります。個人業であっても、店名や商品名などを考える場合は、商標として登録されているかを調べる必要があります。商標については、以前、「食品と商標」で解説しましたので、そちらをご覧ください。
今回紹介したように、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を利用すれば、特許や商標を簡単に検索することができます。これまで無縁だと考えていた方も、一度、身近なキーワードで検索してみてはいかがでしょうか。実に様々なものが特許の対象となっていることに、驚かれるかもしれません。
その他のトピックス | 09:22 | 2015.05.11 Monday |