2015.07.10 Friday
ビールでも機能性食品
No.192
「機能性表示食品」制度が、今年4月(2015/4)に始まりました。先月から、徐々に製品が店頭に並びだしています。目にする製品はまだ少ないですが、下の写真にあるような「ビール風味飲料」(左:「パーフェクトフリー」、右:「スタイルバランス」)が活発な展開をしているようです。
これまで、保健的効果を表示できる食品は、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に限られていました。特定保健用食品は、製品ごとに国(消費者庁)が審査するため、メーカーにとってはかなりハードルが高い食品でした。一方、栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど20種だけが対象となっていました。新たに登場した「機能性表示食品」は、事業者が自らの責任で科学的根拠を示せば、届け出だけで表示することができます。
機能性表示食品の具体的な表示を、上にあげたビール風味飲料「スタイルバランス」で見ると、下のようになっています。「脂肪の吸収を抑える」と「糖分の吸収を抑える」とあり、かなりわかりやすい表示です。
一方、今年5月(2015/5)に登場したビール風味飲料「サッポロプラス」は、特定保健用食品です(下写真)。トクホマークと「糖の吸収をおだやかにする」というフレーズが表示されています。届け出制の機能性表示食品と許可制の特定保健用食品では、メーカーの努力とかかる経費は大きく異なります。しかし、消費者が両者の違いを評価するのは難しいと思います。このあたりは、検討期間が短く見切り発車的に制度が始まった機能性表示食品制度に残された課題と言えるでしょう。
数日前に、スーパーの店頭で下の写真の「オールフリー コラーゲン」を見つけて、ちょっと驚きました。先月末(2015/6/30)に発売されたばかりの製品のようです。「世界初」とありますが、とうとうビール風味飲料にまで、コラーゲンが添加されるようになりました。
つい最近まで、ビール(発泡酒)あるいはビール風味飲料に保健的機能性を付与したという製品は、あまり目立ちませんでした。私のコレクションの中に、キリンの「やわらか」という発泡酒があります(下写真左)。10年以上前(2004/11)に発売されたこの製品には、キリンビールと小岩井乳業が共同開発した「KW乳酸菌」が使われています。当時の資料を見ると、この乳酸菌により、「やわらかな味わい」を実現したとあります。KW乳酸菌は保健的機能がかなり詳しく研究されており、実はキリンの「やわらか」は機能性食品だったと私は思っています。
一方、同じくキリンの「休む日のAlc.0.00%」は、回復系アミノ酸「オルニチン」を配合したビール風味飲料です(上写真右)。オルニチンについては、5年ほど前(2010/4)に「オルニチンと大人のヨーグルト」という記事を載せたので、そちらをご覧ください。2010年に発売されたこの製品はリニューアルされて、今日でも販売されています。
今回、「ビールも機能性食品」というタイトルにしましたが、主にビール風味飲料(ビールテイスト飲料)の話でした。近い将来、ビールや発泡酒などでも、機能性を付与した製品が登場する気がします。ビールの類は、市場規模が非常に大きいので、機能性食品として大きな展開があるかもしれません。少し前までは、アルコール飲料と機能性食品はミスマッチのような感もありましたが、最近の状況を見ると、そんなこともなさそうに思えてきます。
食品のトピックス | 11:03 | 2015.07.10 Friday |