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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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テアニンは集中アミノ酸

No.197


 先月(2015/8/4)、「集中リゲイン」という飲料が発売されました(下写真)。白衣を着た人の数を問うテレビCMが、ちょっと評判になりました。


 左のレギュラータイプの製品には、「テアニン」という物質が100mg、右のスーパータイプにはその2倍の200mgが入っています。


 テアニン(L-Theanine)については、以前「リラックスミルクとテアニン」で紹介したことがありました。下に示したような構造のアミノ酸ですが、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸には入っていません。


 テアニンは茶葉に多く含まれ、お茶の旨味成分のひとつです。玉露のような上質の茶葉にはとくに多く、玉露から分離されて構造が決められました。いわゆる「リラックス効果」がある物質として、下のようなサプリメントの類によく利用されてきました。


 冒頭で紹介した製品は、「集中」をコンセプトとしています。「リラックス」と「集中」では、ちょっと異なる働きのように感じられます。ストレスや単純作業は意欲低下や眠気をもたらし、これらが集中力低下につながるとされています。テアニンのリラックス(緊張軽減)効果が、集中力の持続をもたらすようです。


 「集中リゲイン」の「KEY成分」はテアニンとなっていますが、この製品にはカフェインとアルギニンもかなり入っています。カフェインには覚醒作用や記憶力を向上させる働きがあり、アルギニンにも血流循環を改善する作用などがあります。テアニンとともに、これらの成分が「集中」に寄与していそうです。最近、テアニンがカフェインの中枢神経興奮作用を和らげる効果をもつことが確認されていますので、相乗効果的なものも期待できるのかもしれません。


 ところで、「集中リゲイン」の缶上に被せた黄色い紙の存在も見逃せません。「〜に集中!」というものと「〜さん集中!」という2種類があります。面白い工夫だと思います。下に示したように記入するようですが、嫌味にならないような注意が必要かもしれません。


 今年4月に、機能性表示食品制度がスタートしました。伊藤園の「テアニンの働きで健やかな眠りをサポートするむぎ茶」も、機能性表示食品となりました。睡眠改善も、テアミンの作用のひとつとして注目されています。なお、テアミンについての情報は、素材供給メーカーである「太陽化学」「テアニン情報センター」といったサイトからも入手できます。



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食品のトピックス | 11:57 | 2015.09.25 Friday |