2015.12.25 Friday
ロシア料理は美味しい
No.203
先日(2015/12/6〜13)、ロシアに行ってきました。ロシアといっても短期間のモスクワ滞在でしたので、多くを語る資格はありません。ただ、私がロシアに対して抱いていた印象はすっかり払拭されました。たとえば、クレムリン(下写真左)の姿はソ連時代と変わりありませんが、赤の広場をはさんだ反対側は、きらびやかな今日の姿がありました(写真右)。今回は、そんな現在のロシアで食した料理を紹介します。
ロシア料理と言われても、数か月前まではボルシチとピロシキ以外、頭に浮かぶものがありませんでした。出発前に私が手にしたのが、『国際理解にやくだつ地球たべもの大百科 ロシア ボルシチ』でした。書名に「ボルシチ」が入っているように、やはりロシアを代表する料理なのでしょう。この本は小中学生を対象としていますが、身近な料理からロシアという国を紹介しています。ボルシチそのものよりも、ロシアの生活、文化、歴史などの記述が多く、ロシア入門書としてお勧めしたい一冊です。
滞在中にロシア料理店での夕食会に招かれ、最初に出てきたのは、期待通りのボルシチでした(下写真)。レストランのメニューには様々なボルシチが並んでいますが、ビーツを使いサワークリームをたっぷりと入れるのが共通点のようです。
ボルシチの特徴的な赤色は、ビーツ(テーブルビート、砂糖大根)を使っているためです。ビーツには、ベタシアニンという赤紫色の物質が多く含まれています。ベタシアニンは抗酸化作用が強いことも知られています。下の写真は、モスクワのスーパーで見かけたビーツです。
ビーツさえ手に入れば(缶詰も可)、ボルシチは割合簡単に作れそうです。上で紹介した本などにレシピが載っています。下にあげたようなロシア料理のレシピ本も手に入れることができます。こちらの本も、やはり表紙はボルシチです。
「ビーフストロガノフ」(下写真左)や「カツレツ」(右)も、ロシアの定番料理と言ってよさそうです。モスクワでは、口に入れるまでちょっと味を心配しましたが、思っていたよりもはるかによいお味でした。総じていえば、私が出会ったロシア料理は薄味で、日本人にとって取り返しのつかないような味付けのものには、ほとんどありませんでした。
イクラの入った「ロシアサラダ」(下写真)と称する一品も、日本人好みです。写真に一緒に写っているピロシキもなかなか美味でした。日本ではパン粉を付けて油で揚げたものが多いですが、本場ロシアではパンのようにオーブンで焼いたタイプが一般的とのことです。ピロシキに限らず、パンの類は軟らかく美味しいものが多かったのが印象的でした。ソ連時代の不味い黒パンの話をよく見聞きしたものですが、そのようなものを目にすることはありませんでした。
ロシア料理に、「ペリメニ」という水餃子に似た料理があります。たまたま私が食べたものは、具に豚の背脂を使ったもので、正直あまり口に合いませんでした。後で調べたところ、ペリメニはシベリア発祥の料理とのことです。ロシアは寒い地域なので、エネルギー源となりやすい豚の背脂を利用した料理が結構あるようです。下の写真の手前には、豚の背脂をスライスにして調理したものがあります(左側は牛タンのスライス)。
今回紹介したように、ロシア料理の多くは私たち日本人の嗜好に合うものだと思います。一方、ロシア人の口には、日本食が合うようです。1991年にソ連が崩壊した後、ロシアの都市部では急速に日本食が普及しました。モスクワのデパートやスーパーには、必ず海苔巻などの寿司が置かれているのを目にしました。驚いたことに、モスクワには日本の「丸亀製麺」のお店まであります(下写真)。
今回、短いモスクワ滞在経験からだけで、ロシア料理の紹介をしました。もう少し詳しくロシアの「食」を知りたい方のために、『ロシアおいしい味めぐり』と『世界の食文化 ロシア』をあげておきます。私も、モスクワを訪れる前にこれらの本で予備知識を得ました。
もう少しマニアックなものとして、下にあげた『ロシア文学の食卓』と『亡命ロシア料理』があります。この辺りまで目を通せば、食に限らず、かなりのロシア通になれるかもしれません。私も、パラパラとページをめくってみただけです。
また、直接ロシア料理に関連する内容ではありませんが、『実は日本人が大好きなロシア人』は比較的新しい本で、ロシアという国やロシアの人々を理解するのに役立ちます。
次回は、ロシアの食肉製品や乳製品といった畜産食品を紹介する予定です。
食品のトピックス | 11:37 | 2015.12.25 Friday |