2016.03.25 Friday
イヌとネコの超入門書
No.209
昨年、「イヌとネコの科学」というタイトルで、別冊日経サイエンスの「犬と猫のサイエンス」を紹介しました。今回は、イヌやネコの情報源として、主に子供向けの図鑑を取り上げます。子供向けといってもなかなか充実した内容のもので、美しい写真を多用するなど、専門書がかなわない部分もあります。
最初に紹介するのは、『ポプラディア大図鑑WONDA イヌ・ネコ』(ポプラ社, ¥2000, 2015/6)です。昨年刊行された新しい図鑑で、222ページのボリュームがあります。内容とお値段から、お買い得感があると言ってよいでしょう。帯にも書かれているように、400種類を超えるイヌとネコが写真付きで解説されています。
「イヌってどんな動物?」や「ネコってどんな動物?」といった項では、それぞれの動物の起源、体の構造、能力といったことが、わかりやすい図版で解説されています。随所に挿入されているコラム的な記事も魅力的です。特典として附属する「イヌ・ネコスペシャルシール」も見逃せません(下写真)。本書に掲載されているイヌやネコの全種類がシール化されています。
『くらべてわかる!イヌとネコ ひみつがいっぱい 体・習性・くらし』(岩崎書店, ¥3600, 2015/11)も、昨年出たばかりの本です。「調べる学習百科」となっていますが、写真や図版をふんだんに使った本といった感じでしょうか。63ページなので、大人だとあっという間に読み終わってしまいます。「くらべてわかる」という本書の観点は興味深いもので、「イヌとネコの気持ちの伝え方」、「イヌとネコの表情のひみつ!」、「イヌの病気・ネコの病気」などが、コンパクトにまとめられています。「現代のイヌとネコの問題」では、殺処分問題も取り上げられています。
『イヌとネコの体の不思議』(誠文堂新光社, ¥2200, 2013/10)は、「子供の科学 サイエンスブックス」の1冊です。「科学の世界を豊富な写真やイラストで紹介する」シリーズらしい仕上がりとなっています。非常に平易に書かれた親しみやすい教科書という印象です。イヌやネコのことを基礎から勉強したいという方(大人も)が最初に手にする本として、お勧めしたい内容です。北里大学獣医学部に在職されていた入交眞巳先生も、本書の協力者になっています。
3冊だけではちょっと寂しい感じもするので、最後にもう1冊あげておきます。上で紹介したものとはかなり毛色は違いますが、イヌとネコを個性的な視点からとらえた本(雑誌の特集号)です。雑誌『PEN(ペン)』(阪急コミュニケーションズ)のNo.366(2014/9/1)は、『完全保存版 犬と猫』です。田中光常氏や岩合光昭氏といった著名なプロの写真家が撮影した作品は、ただただ唸るだけです。一般誌の特集としてはかなり濃い内容で、イヌやネコの進化や体構造などにも言及しています。
とじ込み付録として、「美術でもっと理解が深まる! 犬&猫のアート・ミュージアム」があります。「世界編」と「日本編」の2部構成になっており、古今東西の犬アートと猫アートが収載されています。この16ページの冊子だけでも、かなりの価値があると思います。
最近、「ネコノミクス」なる言葉が登場しています。一説ではネコ関連の経済効果は年間2兆3千億円にもなるそうです。このままネコの勢いが続くと、やがて「イヌとネコ」ではなく、「ネコとイヌ」になるのかもしれません。
その他のトピックス | 11:47 | 2016.03.25 Friday |