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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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ヒトもペットも食でストレス解消

No.214


 昨年4月(2015/4)に「機能性表示食品」制度が発足し、スーパーなどの店頭でもずいぶん製品を目にするようになりました。下に示したのは、機能性表示食品のパッケージの一例です。


 機能性表示食品は、事業者が自らの責任で科学的根拠を示せば、届け出だけで表示することができます。従来からある特定保健用食品(トクホ)との違いが消費者にわかりにくいなどの問題も抱えていますが、初年度(2015年度)に310件の届出がありました。


 先日(2016/6/6)、消費者庁は2015年度に届出された全件を検索できるデータベースを公開しました。この検索ページで、「ストレス」をキーワードとして検索すると、17件がヒットします。


 この「ストレス」に注目した機能性表示食品のひとつに、下の写真の「リラックスカフェゼリー」(安曇野食品工房, 2016/3発売)があります。特定保健用食品でも、ストレス緩和をうたった製品はありません。労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が昨年末(2015/12)に施行され、ストレスに対する関心が高まっていることとも、この種の製品の登場を促しているかもしれません。


 上にあげた製品の「届出表示」には、「本品にはGABAが含まれています。GABAには事務的作業に伴う一時的な精神的ストレスを緩和する機能があることが報告されています。」とあります。GABA(γ-アミノ酪酸)は、下に示したような構造を有するアミノ酸の一種です。抑制性の神経伝達物質として知られ、抗ストレス作用のある物質としても注目されています。なお、ストレス緩和をうたっている機能性表示食品17件のうち、12件がGABAを利用し、残りはL-テアミン4件とL-セリン1件となっています。


 ところで、犬や猫が食べるペットフードでも、ストレス緩和は重要なコンセプトのひとつとなっています。GABAを配合したペットフードもありますが、薬事法との関係からストレスとの直接的な関連を表示することはできません。加えて、ペットフードには特定保健用食品や機能性表示食品に相当する制度もありません。


 私たち(北里大学食品機能安全学研究室)は、畜肉や魚肉タンパク質を酵素分解して調製したペプチドの抗酸化作用に注目し、抗ストレス素材を開発しました。「a-iペプチド」と名付けたこの素材は、すでにキャットフード(アイシア社のMiawMiawシリーズ)に利用されています。


 2007年の発売当初の製品パッケージには、「ストレスケア」あるいは「ストレスを感じやすい猫用」とはっきりと明示されていました。その後、農林水産省消費・安全局長による「動物用医薬品等の範囲に関する基準について」が示され、ペットフードの薬事法適用に関する判断材料となっています。この中にストレスに関する表示例もあげられており、医薬品的な効能効果となりうるとの見解があります。現在、a-iペプチドを配合したキャットフードのパッケージには、「カリカリ食べて、ストレス発散!」(下写真)というやや曖昧なフレーズが書かれています。


 今日、われわれ人間だけでなく、多くの犬や猫たちもストレスに悩まされているのは間違いありません。ストレスを緩和する優れた食品やペットフードの開発は大切ですが、そのような製品の価値を消費者にうまく伝える方法も考える必要があります。

この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
240:機能性表示食品が続々登場(2017/07/10)
192:ビールでも機能性食品(2015/07/10)
136:「a-iペプチド」とキャットフード(2013/03/12)
114:リラックスミルクとテアニン(2012/04/10)
38:グリシンは快眠アミノ酸(2009/02/10)
27:機能性食品の可能性と限界(2008/08/25)
2:ストレスと抗ストレス食品(2007/09/03)
食品のトピックス | 11:34 | 2016.06.10 Friday |