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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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ジビエブーム

No.217


 ここ数年、「ジビエ」という言葉をよく目にするようになりました(下写真は、ジビエを特集した雑誌)。日本ジビエ振興協議会のホームページによると、ジビエは「狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉」です。


 さらに、「狩猟の対象となっている野生鳥獣は全てジビエとして定義されます。シカ、イノシシ、野ウサギをはじめ、山鳩、真鴨、小鴨、尾長鴨、カルガモ、キジ、コジュケイ、最近話題のカラス、またフランスでは狩猟禁止で貴重なタシギ等の鳥類や、ヌートリア、ハクビシンといった珍しい動物も含まれます。」と続いています。


 古くから狩猟が盛んであったフランス、北欧、ロシアといった国を訪れると、ジビエやその加工品をよく見かけます(下写真はモスクワのジビエ加工品販売店)。ノルウェーで開催された国際学会のディナーでは、メインディッシュに野生のトナカイのステーキが出てきました。


 ところで、かつて日本のイノシシやシカは絶滅寸前になり、1918年に鳥獣保護法が制定されて保護の対象となりました。その後、野生のイノシシやシカは増え続け、今や深刻な農作物被害(年間約200億円)をもたらす存在となっています。一方で、ジビエを特産品として活用し、地域振興を目指す取り組みが各地で盛んになってきました(下写真)。


 長野県では、「信州ジビエ研究会」が2014年に認証制度を始め、地域ブランド「信州ジビエ」の確立を目指しています(下は認証マーク)。


 このような認証制度は、北海道、岐阜県、三重県、兵庫県、和歌山県などでも取り組まれています。さらに、日本ジビエ振興協議会が中心となり、全国的なイベントが開催されるなど、ジビエはブームとも言える盛り上がりを見せています。


 最近はジビエに関連した本も多いので、興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょうか。写真家の田中康弘氏は、狩猟(マタギ)関係の著作が多い方です。その一冊に、『猟師食堂』(判佝納, ¥1500, 2016/4)があります(下写真左)。同じ著者による『日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』(判佝納, ¥1500, 2014/4)も、お勧めの一冊です(右)。


 ジビエは魅力ある食材ですが、衛生面で注意する必要があります。管理された環境で飼育されている牛、豚、鶏といった家畜に比べると、野生のイノシシやシカはウイルスや寄生虫といった病原体に感染している率が高くなっています。ジビエは、しっかりと加熱調理することが重要です。一昨年(2014年)、野生鳥獣肉(ジビエ)の安全性を確保するために関係者が遵守すべき「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」が策定されました。



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205:ロシアの食肉事情(2016/01/25)
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食品のトピックス | 10:35 | 2016.07.25 Monday |