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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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大人のための粉ミルク

No.229


 「ミルク生活」という通販限定の製品(下写真)が、森永乳業から発売されました(2016/10販売開始)。「赤ちゃんが健康に育つものだから体にいいと思い、育児用ミルクを毎日飲んでいる」や、「乳幼児用ではなく、大人向けにいろいろな栄養が入っている粉ミルクがあればぜひ購入したい」といった声に応えての発売とのことです。


 缶に記載されている「原材料名」を見ると、乳糖、乳たんぱく質、カゼインといった牛乳由来の成分がありますが、牛乳以外の成分もかなり使われています。お味の方は、少し甘く優しい感じがするものでした。牛乳が苦手でも、これなら大丈夫という方もいるかもしれません。


 「ミルク生活」の容器やパンフレットには、カルシウム、ビフィズス菌、シールド乳酸菌、ラクトフェリンの添加が強調されています(下写真)。シールド乳酸菌ラクトフェリンについては、以前に解説したことがありましたので、そちらもご覧ください。


 「ミルク生活」に似たコンセプトの製品は、これまでにもありました。「大人の粉ミルク」(下写真)は、救心製薬の製品です。強化されている成分から、「骨の健康」を考えているようです。


 こちらの製品で強調されている成分は、葉酸、コラーゲン、ビタミンD、ミライ80、カルシウム、プロテタイトです。耳慣れないものとして、「ミライ80」と「プロテタイト」があります。前者は牛乳(乳清)タンパク質分解物(ペプチド)で、後者はコラーゲンにカルシウムなどを結合したミネラル複合体です。


 ところで、「粉ミルク健康法」と呼ばれるものが、かなり以前から知られています。 1980年代には下にあげたような本も出版されました。 当時、粉ミルク健康法はテレビや健康雑誌にもたびたび取り上げられ、ある種のブームにもなりました。 ただ、かなり極端な効果がうたわれたことや医学的根拠に乏しいことなどから、問題視もされました。



 牛乳や粉ミルクなどの乳製品は、われわれ人間にとって完全な食品ではありませんが、栄養学的に優れた面を持っているのは事実です。粉ミルクも、過大な期待をせずに摂取する意義はあると思います。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
286:乳児用液体ミルク(2019/06/10)
259:森永乳業の百年(2018/04/25)
181:牛乳の気になる噂(2015/01/26)
119:甘い牛乳(2012/06/25)
113:ラクトフェリンは多機能タンパク質(2012/03/26)
97:牛乳美人(2011/07/25)
食品のトピックス | 11:56 | 2017.01.25 Wednesday |