2017.02.10 Friday
チーズのような豆腐
No.230
今回紹介するのは、「ナチュラルとうふ」です。チーズのような食感の豆腐と言ってもよいでしょう。下のパッケージは、「モッツァレラのようなナチュラルとうふ」です。
「ブラータ仕立て」と書かれていますが、「ブラータ(Burrata)」は幻のチーズと呼ばれていたもので、少し前まで日本で目にすることはありませんでした。モッツァレラチーズと生クリームを混ぜたものを、さらにモッツァレラチーズの皮で包んだ2層構造の手の込んだチーズです。最近では、下のようなイタリアからの輸入品が出回っています。
さて、「モッツァレラのようなナチュラルとうふ」ですが、パッケージ内では液体中に丁寧に紙で包まれた状態で入っています。非常に軟らかいもので、お皿に移した状態が下の写真です。
この製品は、確かにブラータのように2層構造になっています。葛切りのような半透明の薄皮で、トルコアイスやカスピ海ヨーグルトを思わせる独特の粘性のある豆腐(?)が包まれています。好みはあるかと思いますが、たいへんユニークな製品に仕上がっていると思います。
「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」という製品もあります(下写真)。マスカルポーネは、ティラミスの材料として使われることで、日本でもよく知られるようになったフレッシュチーズ(クリームチーズ)です。
「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」は、大豆由来の原料だけで濃厚なクリーム感のある製品を実現しています。その秘密は、「豆乳クリーム」という新開発素材の利用にあります。豆乳クリームを利用したこの製品は、「ものづくり大賞 経済産業大臣賞」を受賞しています。お味の方はかなり豆腐っぽいものですが、豆腐好き(あるいはチーズ嫌い)の方には、とても好まれると思います。
牛乳や羊乳からチーズを作る場合、レンネットと呼ばれるタンパク質分解酵素を使用します。乳に含まれるタンパク質であるカゼインの一部分がレンネットで分解されると、乳は凝固します。液体のミルクが固体のチーズになるためには、この過程が非常に重要です。
一方、豆乳を豆腐にするためには、「にがり」(塩化マグネシウムが主成分)などの凝固剤が使われます。豆乳を加熱して大豆タンパク質(グリシニン)を変性させた後に凝固剤を加えると、グリシニン同士が結合して豆乳が凝固します。なお、伝統的製法で作られる豆腐ではにがりが使われますが、現在市販されている豆腐では、グルコノデルタラクトンなどの凝固剤も用いられています。
牛乳と豆乳は見た目が似ており、高タンパク食品である点も共通していますが、含まれている成分の特性はかなり違っています。両者とも凝固させることができますが、その仕組みが違うことも面白いところです。今回、「チーズのような豆腐」を紹介しましたが、「豆腐のようなチーズ」もいいと思います。
食品のトピックス | 13:16 | 2017.02.10 Friday |