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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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マンガリッツァは国宝の豚

No.237


 マンガリッツァ(Mangalitza)は、ハンガリー原産の希少種の豚です。以前はハンガリーでかなり飼育されていた豚でしたが、絶滅の危機に直面するほど減ってしまいました。その後、ハンガリー政府が2004年にこの豚を国宝(国家遺産)に指定するなどの努力をし、現在ではだいぶ頭数が増えたそうです。下の写真が、マンガリッツァ豚の姿です(版権: isselee / 123RF 写真素材)。


 この豚の最大の特徴は、なんといっても羊のような長くカールした体毛で、「ウーリーピッグ」(羊毛の豚)という別名もあります。肉質も優れており、赤身に霜降り状に入った脂肪が上品な風味をもたらし、「エレガントな豚肉」と称されています。最近は、テレビなどでも紹介され、日本でも徐々に知られる存在になりつつあります。


 上にあげた本は、マンガリッツァ豚を題材にした貴重な本です。漫画家の著者がマンガリッツァに出会って、国賓としてハンガリーに招かれたいきさつが描かれています。もちろん専門書ではありませんが、マンガリッツァについて書かれたもっとも詳しい本かもしれません。

 最近では、日本国内でもマンガリッツァの豚肉を扱う輸入業者があり、ネットで入手することができます。サラミなどの加工品の形でも輸入品が国内で販売されています(下写真)。私は、このサラミを食べてみましたが、なかなか美味でした。


 下の写真のパッケージは、「国宝マンガリッツァ豚カレー」で、神戸はいから食品本舗の製品です。レトルトのカレーとしては少々高めの価格ですが、マンガリッツァの豚肉がたっぷり入った本格的なものです。


 最後に1冊、マンガリッツァ豚が載っている本を紹介します。「ふしぎルックス珍獣ずかん」には、81種類の「あっと驚く動物たち」が取り上げられています。この本でマンガリッツァは「厳選ルックス15種」に入っているので、珍獣度はかなり高いと言えるのでしょう。


 昨年(2016/7)、北海道・帯広の十勝ヒルズがオランダからマンガリッツァ豚を生体輸入して、飼育を始めたというニュースがありました。すでに、十勝ヒルズのレストランではマンガリッツァの豚肉が楽しめるそうです。マンガリッツァ豚の飼育は、宮城県などでも始められています。肉質は優れているものの生産効率が悪いといった課題もありますが、魅力ある食肉や加工品として消費者に認められれば、高めの価格も受け入れられるかもしれません。

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食品のトピックス | 14:29 | 2017.05.25 Thursday |