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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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「お肉博士」になりました!

No.250


 4か月前(2017/8/10)に、「お肉博士を目指そう!」で、「お肉検定」試験の概要を紹介しました。先月(2017/11/12)、この試験が行われました。


 今回、私もこの試験(1級)を初めて受けてみました。幸いにして、合格通知を受け取ることができました。ただ、お肉の専門家としては、誇れる得点ではないかもしれません。


 下の写真にあるのが、届いた「お肉博士1級認定書」です。仕事柄、本物の博士号(農学博士)も持っていますが、こちらの「お肉博士」もかなり嬉しかったです。


 今回の試験の合格率(%)、受験者平均点、合格者数を、表にしました。合格率の数字をどう評価するかは難しいところですが、真面目に取り組んでいる方が多いようですので、決して易しい試験ではないと思います。食肉関係の職場では、受験を勧めているところも多いと聞きます。


 この記事を読んでいる方の中には、来年以降の受験を考えている方もいるかと思います。以下に、少しだけ受験対策を述べておきます。勉強の基本は、事務局から購入できるテキストとなります(下写真)。それぞれの級のテキストに記載されている内容をしっかり覚えれば、必ず合格できます。


 2級テキストは88ページと比較的薄いですが、1級は193ページとなかなかのボリュームです。1級だけを受けるという方にも、私は2級テキストの入手をお勧めします。1級のものに比べて字が大きく、はるかに読みやすく感じられます。また、重要な部分にアンダーラインがあるのも有難いです。何回か2級テキストに目を通した後に、1級テキストに移るのがよいと思います。私自身も、そうしました。


 この検定試験の問題集は販売されておらず、いわゆる過去問も公表されていません。どんな問題が出題されるのかがわからないのは、ちょっと試験対策をしにくくしています。ただ、2級テキストの末尾にある「お肉検定試験<2級>出題例」は、貴重な情報です。ここに載せてあるのは30題だけですが、1級受験者にも役立ちます。


 試験では、食肉の歴史、種類、特徴、栄養と調理、加工品、衛生管理、流通や生産、格付け評価、販売や消費、法律、表示といった幅広い知識が問われます。歴史まで含まれるので、「Farm to Table(農場から食卓まで)」以上の範囲と言えるかもしれません。1級・2級とも合格基準は80点以上(100点満点)で、問題はすべて2〜5者択一式(マークシート)です。テキストだけでは心配という方には、全国7か所で開催される講習会があります。


 食肉関係の仕事をされている方では、この試験を受けたことがある方が結構おられます。私は、そういった方にどんな問題が出るのかを尋ねましたが、「先生なら心配ないでしょう」とか言われてしまい、あまり具体的な情報が得られませんでした。実際に受験して感じたのは、テキスト記載の細部までが問われるということでした。また、写真を使った問題が多かったのも、予想していなかった点でした。家畜の容姿や食肉の部位など、映像もしっかりと頭に入れておく必要があります。


 問題用紙を試験会場から持ち出すことは禁じられているので、私も出題内容の詳細を紹介できません。記憶に留まっていたものを、以下に列記しておきます。「家畜・家禽の飼育頭数」、「豚の品種(写真問題)」、「肉牛の交雑種とは(親牛の組み合わせ)」、「家畜1kgの増体に必要な飼料重量」、「飼料の成長ホルモン剤(天然・合成ホルモン剤の使用規制)」、「牛肉消費量の多い政令指定都市」、「日本の食肉輸入上位国」、「輸入食肉の検査(動物検疫と食品衛生検査)」、「食肉部位の判別(写真問題)」、「家畜副産物の部位(赤物と白物)」、「豚枝肉取引規格における重量(kg)範囲」、「成人の必須アミノ酸の種類」、「筋肉タンパク質のターンオーバー(約180日)」、「霜降り肉中の脂質種(貯蔵脂質)」、「アレルギー表示対象原材料(卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生)」、「粗挽きソーセージの挽目(直径5mm以上)」、「揚げ物の分類(素揚げ)」、「揚げ物の油温度と判断方法」といったところです。これらのうちのいくつかは、私が正解できなかったものですので、どちらかというと難問かもしれません。


 私は1級だけを受験しましたが、2級より1級の方が解答しやすかったと言う方が少なからずおられるようです。ネット上の書き込みにも見られますが、2級の正誤問題などではややわかりにくい表現があり、いわゆる引っ掛け問題に感じられる方が多いようです。


 今年は、テレビ番組(日本テレビ「ヒルナンデス!」)で、お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさんのお肉検定挑戦が話題になりました。安藤さんは惜しくも79点で1級不合格でしたが、お肉検定やお肉博士の知名度はかなり高まりました。「お肉博士を目指そう!」でも書きましたが、「お肉博士」は公的な資格の類ではありませんので、直接的に何かに利用することはできません。しかし、食肉(食品)や畜産関係の仕事に就こうと考えている学生諸君には大いに役立つと思います。顔見知りの企業の方に尋ねたところ、履歴書に「お肉博士1級」と書いてあるのは悪くないことのようです。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
257:お肉の情報館(2018/03/26)
256:ミートジャッジング競技会(2018/03/12)
242:「お肉博士」を目指そう!(2017/08/10)
190:肉焼き総研(2015/06/10)
146:お肉検定(2013/08/10)
食品のトピックス | 15:41 | 2017.12.11 Monday |