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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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3種の生乳ヨーグルト

No.272


 青森県おいらせ町にある「カワヨグリーン牧場」は、約50ヘクタールの広大な敷地を有し、バーベキュー、パークゴルフ、動物とのふれあい体験、キャンプなどを楽しむことができます。


 1957年に開牧したこの牧場には、たくさんの羊が放牧されており、のどかな景色が広がっています。


 乳牛も飼われていますが、敷地内の少し奥まったところにいるため、ここを訪れた方は乳牛を見ずに帰ることが多いようです。


 今回紹介するのは、この牧場で作られている「3種の生乳ヨーグルト」です。この3種とは、乳牛の種類によるものです。ここで販売されている牛乳も、3種の乳牛から得られたものをブレンドしています(下写真)。


 パッケージの裏側に、3種の乳牛(ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイス)についての説明があります(下写真)。


 「ホルスタイン種」は、パッケージにも書かれているように、「乳用牛の女王」として君臨している品種です(下写真)。日本で飼育されている乳牛の99%は、ホルスタイン種です(約140万頭)。お馴染の模様のこの牛の乳は、乳量が多いことが大きな特徴です。


 日本で2番目に多く飼育されている乳牛が、「ジャージー種」です(下写真)。ただ2番目と言っても、ホルスタイン種の1%にも満たない数です(約1万頭)。生産乳量は少ないものの、脂肪などの乳成分含量が高い濃厚な乳であるため、良質なチーズやバターの原料として優れています。愛くるしい目が特徴の人気者です。


 ブラウンスイスは日本で3番目に多い乳牛ですが、その数は2千頭ほどに過ぎません(下写真)。乳質が優れているため、チーズ製造に適しているとされています。なかなか目にすることができない乳牛で、カワヨグリーン牧場は貴重な存在です。


 これら3種の乳牛から得た生乳を原料としているのが、「3種の生乳ヨーグルト」です(下写真)。パッケージには、3種の乳牛のイラストが描かれており、なかなか魅力的です。


 ホモジナイズ(均質化処理)をしていない乳を使っているため、ヨーグルト上部に乳脂肪の層が形成されています(下写真)。ジャージー種やブラウンスイス種のような乳牛から得られる脂肪分の多い生乳を使うことにより、この層は厚いものになります。


 「カワヨグリーン牧場」は、私の勤務している北里大学獣医学部(北里大学獣医学部)から車で30分ほどの場所にあり、気軽に行くことができます。遠方からお越しになる場合は、東北新幹線八戸駅あるいは三沢空港からのアクセスになるかと思います。


 酪農家等が、主に学校や教育現場等と連携しながら、それぞれの牧場等が持つ多様な資源を活用して行う教育活動を行う牧場等を「酪農教育ファーム」と呼んでいます。今回紹介したカワヨグリーン牧場も、酪農教育ファームとして認証されています。



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食品のトピックス | 17:30 | 2018.11.12 Monday |