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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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モーっと!牛乳を飲もう!

No.280


 先日、青森県内のショッピングセンターで、「モーっと!牛乳を飲もう!あおもりミルクキャンペーン」のイベントが行われました。


 青森県における農業で、畜産は、米、果樹、野菜と並ぶ基幹部門のひとつとなっています。しかし、各都道府県別の家畜・家禽飼育頭羽数を見ると、鶏、豚、肉牛に比べ、乳牛の順位は高くありません。平成に入って、青森県の乳牛飼養頭数が大きく減少していることも気になります。


 青森県内には、かつて雪印乳業や明治乳業の牛乳処理工場がありました。しかし、現在では大手乳業メーカーの工場はありません。本格的規模の牛乳処理工場と言えるものは、弘前市の萩原乳業が操業するものだけです。


 生産と消費は別のものですが、牛乳消費量を伸ばすことも、青森県の酪農振興において重要なことです。また、「脱短命県」をスローガンとして掲げている青森県では、食生活の改善も喫緊の課題です。


 冒頭で紹介したイベントでは、クイズラリーや抽選会などが行われていました。クイズでは、「日本で最も多く飼育されている乳牛の種類は?」、「牛乳から出るお乳の量は一日どれくらい?」、「安全でおいしい牛乳を作るために工場では何をしているでしょうか?」、「牛乳の味は牛の種類や季節、しぼる時間帯で違う?」といった問題が出されていました。


 イベント会場では、「牛乳がとどくまで」というリーフレットやハンドタオルが配られていました(上写真)。いずれも、寄藤文平氏のイラストでデザインされた魅力的なものです。「MILK JAPAN(ミルクジャパン)」というのは、全国の酪農家がつくる中央酪農会議の草の根運動的なチームです。2010年に発足し、「牛乳が日本を元気にする。」をスローガンに、子育てに奮闘する母親を支援する社会的な運動への発展を目指しています。


 昨年末(2018/12/30)に、TPP(環太平洋連携協定)が発効しました。日本が得意とする自動車などは域内での競争力が増すのかもしれません。一方で、農業の苦戦が予想されており、酪農も厳しい競争にさらされる分野の一つです。日本国内の生乳の約半分は、北海道で生産されています。北海道産の生乳は、乳製品に利用される割合が大きくなっています。しかし今後、安価な外国産チーズの輸入が増えると、北海道産生乳の飲用乳への転用が進み、青森県など本州における生乳生産を圧迫することが懸念されています。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
210:TPPと牛乳・乳製品(2016/04/11)
181:牛乳の気になる噂(2015/01/26)
172:ミルクランド・北海道(2014/09/09)
131:青森県産の乳・肉・卵(2012/12/27)
90:『ミルク世紀』(2011/04/11)
食品のトピックス | 11:58 | 2019.03.11 Monday |