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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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スパイス博物館と塩博物館

No.290


 先日(2019/8)、ベルリン、ポツダム、ハンブルグといったドイツ北部を訪れました。ドイツと言えば、ソーセージなどの食肉製品が有名です。食肉製品の製造に欠かせない原料として、塩やスパイスがあります。今回、ハンブルクにある「スパイス博物館」とハンブルクから近いリューネブルクにある「塩博物館」を紹介します。


 ハンブルクの運河沿いに、赤レンガ造りの倉庫街があります。ここはハンブルク有数の名所となっており、観光客で賑わっています。2015年には世界遺産にも指定されました。この倉庫街の一角に、「スパイス博物館」があります。


 ハンブルクは、古くから港町として栄えていました。かつて、スパイスは貿易の主役でした。このような背景を考えれば、スパイス博物館がハンブルクにあることもうなずけます。小さな博物館なため、入口も目立たないため、すぐには見つけられませんでした。


 観光ガイドブックの類にも書いてありますが、入場チケットの代わりにブラック・ペッパーの入った小袋が渡されます(下写真)。


 スパイス運搬用の麻袋やスパイス加工に用いられた機器など、往時を忍ばせる展示がされています。やや地味な題材を扱う博物館であるため、入館前は閑散としているのかと思っていましたが、意外に賑わっていました。熱心に展示を見る入館者も少なくありません。


 リューネブルクは、特急列車を使えばハンブルクから30分ほどで到着します。ここは、レンガ造りの家並みがよく保たれた美しい街として知られています。かつてこの街は、製塩業で栄えました。良質の岩塩水から作られる塩は、「白い黄金」と呼ばれました。


 リューネブルクでの製塩はすでに幕を閉じており、1980年まで操業していた最後の製塩所が「塩博物館」となっています。ここではリューネブルクの製塩に限らず、塩に関するかなり広範な展示がされています。


 入館後すぐに目を引くのは、重さ6トンの巨大な岩塩は2億年以上前に結晶化されたものです(下写真左)。中世の製塩過程や近代的な製塩装置なども展示されています。


 せっかく塩博物館を訪れたので、リューネブルクの塩(下写真)をお土産に買いました。ただの塩の結晶のようにも見えますが、これがかつて「白い黄金」と呼ばれたものです。お値段は、1グラム2円ほどでした。


 塩やスパイスは、ハム・ソーセージの製造に欠かせないものです。腐敗しやすい食肉の貯蔵性を高める塩やスパイスは、古くから非常に重要な存在でした。冷蔵技術が発展した今日でも、これらなしに嗜好性の高い食肉製品を得ることはできません。もはや、良質な塩やスパイスの入手は困難なことではありませんが、今回訪れた博物館の展示を見ると、先人の努力に敬意を表したくなります。

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食品のトピックス | 06:05 | 2019.08.19 Monday |