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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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ストレスと抗ストレス食品

No.2


ストレスとは?
 私たち現代人は、ストレスに満ちた環境で生活していると、よく言われています。ストレスが、うつ病をはじめとする様々な病気の原因になるということも、しばしば耳にします。そもそも「ストレス」とは、生物学的には「何らかの刺激によって生体に生じた歪みの状態」を意味しています。しかし、日本語ではこの「何らかの刺激」のことをストレスと呼ぶことも多くあります。本来は(英語では)、「何らかの刺激」は、「ストレッサー」と呼ばれています。私たちにとってのストレッサーは、「不快な環境・社会的要因」とも言うことができ、以下の4つに大別できます。


 このようなストレッサーにより、生体内では様々な乱れ(ストレス)が生じます。その重要なもののひとつに、「活性酸素」(あるいはフリーラジカル)の生成に伴う酸化ストレスの発生があります。活性酸素は、テレビなどではよく「悪玉酸素」として紹介されています。酸化ストレスは、細胞膜等の損傷をはじめとする生体防御システムの攪乱をもたらすことにより、体調不良や精神的乱れなど様々な異常を生じさせます。さらには、数多くの疾病(たとえば、精神性疾患、循環器疾患、消化器疾患、腎疾患、皮膚疾患、脳神経疾患、糖尿病、呼吸器疾患、血液疾患、眼疾患)の誘因ともなります。「生体にとってのあらゆるストレスは酸化的である」とも言われており、現在、ストレッサーを「酸化ストレスの係る生体システムの攪乱を招くもの」としている研究者もいます。


抗ストレス食品
 ストレスを解消あるいは軽減させるための方法として様々なものがあります。もちろん疾病の発症など深刻な状況では、専門医の治療を受ける必要がありますが、軽微なものであれば、日常生活の中で工夫することも可能です。私たちが摂取する食品の中には、抗ストレス作用があると言われているものがあります。上述したように、酸化ストレスが鍵を握っているという観点から、いわゆる「抗酸化食品」に対する関心も高まっています。代表的な抗酸化食品として、β−カロチンが豊富な緑黄色野菜、ポリフェノールの多い赤ワイン、カテキンの効果が注目される緑茶などをあげることができます。
 また、抗ストレス作用のある成分を利用した加工食品も開発されています。最近、注目されているものに、「GABA」(γ−アミノ酪酸)があります。GABAを添加したチョコレートやヨーグルトは、よく売れているそうです。これらの製品のパッケージには、「ストレス社会で闘うあなたに」とか「ストレスと向きあうあなたに」といったコピーが躍っています。GABA以外にも、ビタミンC、ビタミンE、ペプチド、DHA、コエンザイムQ10、ゴマセサミン、ポリフェノール、ハーブといったものを添加した、いわゆる「抗ストレス食品」が次々と登場しています。ただ、イメージ商品にとどまっているものも少なくなく、本当に効果が期待できるものを選択するのは、消費者にとって困難なようにも思われます。消費者ニーズの大きい食品であり、今後の発展も期待できるので、良心的な製品が数多く誕生することを期待したいところです。

ペットのストレス問題
 ところで、近年、犬や猫といった愛玩動物の社会的な存在意義が高まるにつれて飼育環境が著しく変化してきました。愛玩動物は家族同様に大切に扱われるようになる一方で、様々な新たなストレッサーにも曝されるようにもなっています。たとえば、元来屋外で飼育されてきた動物にとって室内で飼育されることは、それだけで非常に大きな苦痛を受ける場合が多いようです。特に都会におけるマンションやアパートといった限られた室内空間は、多くの動物にとっては厳しい生活環境でしょう。散歩等で接する室外の環境も、都会では騒音や大気汚染など多くのストレッサーが溢れています。さらに単身世帯の増加等により、愛玩動物が飼い主と接する時間は限られ、散歩等の機会も少なくなりがちです。このような状況は、犬や猫の食欲不振や自虐行為など健康を損ねる状態につながりやすく、様々な疾病の誘因ともなっています。また、ストレスの蓄積により、無駄吠え、乱暴な行動、不適切な排便など飼い主や周囲の人間を困らせる行動を起こす犬や猫も多く、飼い主のストレス性疾患の発症などの健康問題や近隣住民との深刻なトラブルに発展する場合もあります。


 このような状況のもとでは、抗ストレス食品は、私たち人間だけでなく、犬や猫といった愛玩動物にとっても必要なものと言えるでしょう。現在、「抗ストレスペットフード」に対する関心が高まっており、すでに「ストレス」という文字がパッケージに刷り込まれたドッグフードやキャットフードもいくつか登場しています。しかし、愛玩動物に特化して開発された優れた製品は、まだ少ないようです。

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214:ヒトもペットも食でストレス解消(2016/06/10)
197:テアニンは集中アミノ酸(2015/09/25)
114:リラックスミルクとテアニン(2012/04/10)
21:産学官連携でペットフード開発(2008/05/26)
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4:「機能性ペットフード」の可能性(2007/09/07)
食品のトピックス | 14:02 | 2007.09.03 Monday |