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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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「アルコールパッチ」と「肉きゅうパッチ」

No.14


 先日、自宅近くのローソンで、「アルコール体質試験パッチ」を見つけました。一度調べてみたいと思っていたので、買ってみました。早速、私と妻、それに妻の母親の3人で、この試験パッチを試しました。使い方はいたって簡単で、テープ状のパッチを腕に貼り、20分間待つだけです(ちょっと長い)。肌の色の変化により、「飲めない」、「弱い」、「飲める」の3段階で判定されます。3人の中で一番飲めない私は、「弱い」となり、妻と義母は「飲める」という判定で、予想通りの結果でした。この製品、1箱に試験パッチ「3枚入り」と書いてあるのですが、どういうわけか私が買ったものには4枚入っていました。「飲めない」という判定(濃いピンク色)が出るのを見たくて、残りの1枚を研究室で一番アルコールに弱いと言われている学生さんに試してもらいました。その結果、期待通りに「飲めない」という判定が出て、満足しました。


 私が調べた4例を見る限り、この製品の判定結果は信頼性が高そうです。大学生の急性アルコール中毒防止のために、新入生諸君に使えばよいのではと思ったら、すでにそういうことを行っている大学は結構あるとのことです。この製品のしくみは非常にシンプルなものですが、興味のある方は製造元であるライフケア技研株式会社(富山市)のホームページをご覧になってください。アルコール体質の遺伝子型などについても、とても良い解説があります。

 ところで、この製品を製造販売しているライフケア技研の横井社長は、製薬メーカーに29年勤務したあと、平成9年にベンチャー企業を設立し、ヘルスケア関連の新しい医療用具の開発に取り組んでこられてきたそうです。この辺の詳しい話が、中小企業ビジネス支援サイトで紹介されています。この会社の製品には、「リラックス度チェッカー」というものもあります。私は、「抗ストレス食品」の研究を行っているので、この製品も入手して試してみました。アルコールパッチと似たようなテープ状パッチを手のひらに貼り、やはり色の変化を見ます。こちらの試験は、結果が出るまでの時間は短く3分です。


 昨年の夏に、「肉きゅうパッチ」というペット用のストレスチェッカーが発売され、結構評判になりました。私は「抗ストレスペットフード」の研究開発にも携わっていたので、強い関心をもちました。実は、この製品もライフケア技研の製品だったのです。人間用の「リラックス度チェッカー」をペットに応用して開発したようで、犬用と猫用が販売されています。「リラックス度チェッカー」も「肉きゅうパッチ」も、原理としてはストレスによる発汗を利用したものです。判定結果が数値的には得られないので、残念ながら研究には利用できませんでしたが、私もずいぶん惹かれました。ストレスマーカーの測定は結構面倒なものですので、こんな簡単な方法が使えればと真剣に思ったものでした。ペットのストレス性疾患が増えているので、ペットを飼っている方々にとっては気になる製品ではないでしょうか。


 今回、ライフケア技研株式会社の開発した3つの製品を紹介しましたが、いずれも面白い(私好みの)ものだというのが率直な感想です。私が実際に手にしたこれらの製品以外にも、ライフケア技研株式会社のホームページには、「皮膚水分チェッカー」や「携帯用おしり洗浄器」といった自社開発製品が掲載されています。これからも、この会社はユニークな製品を開発していくことでしょう。できることならば、ぜひ一度、横井社長にお会いしてお話をうかがいたいと思っています。私も、こういう製品を開発してみたいものです。何か面白いアイデアはないでしょうか。
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24:ペットフードと特許(2008/07/09)
その他のトピックス | 12:55 | 2008.02.12 Tuesday |