<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

<< 機能性食品の可能性と限界 | main | ガラナと北海道 >>

農医連携シンポジウム

No.28


 前回(No27,「機能性食品の可能性と限界」)、「北里大学農医連携シンポジウム」で予定されている講演について少し紹介しました。私は、「機能性食品の可能性と限界」というタイトルで話をすることになっていますが、その講演要旨を先日、提出しました。話す内容がまだ十分に煮詰まっていなかったので、無理無理書いたようなところもありますが、構成は以下のとおりです。


 要旨の制限が4ページ以内(A4)ということだったので(要旨としては長め)、ちょっと欲張って内容を盛り込んでしまいました。やや総花的になってしまったことは否定できません。以下に、「はじめに」の部分を転載します。

1.はじめに
 体に良い食品と言われると、「健康食品」という言葉が頭に浮かぶ方が多いかと思う。しかし、この健康食品、本当に体に良いかというと、かなり怪しい部分もある。実際に、「健康食品の摂取で健康被害」という話も少なからずあった。今年8月に発表された厚生労働省の調査では、強壮効果をうたった健康食品の約15%から薬事法で無許可の販売を禁じている医薬品成分が検出された。また、2005年の東京都の調査結果は、市販されている健康食品の85%は、その表示・広告が関係法令(薬事法、景品表示法、JAS法、健康増進法など)に違反または違反の疑いがあると指摘している。

 一方で、多くの方がサプリメントなどの健康食品の効果に期待しており、最近の民間調査(50〜79歳の男女500名を対象)では、48.8%が「普段サプリメントを摂取している」と答え、そのうちの87.3%が「毎日摂取」となっている。多少の疑問を抱きながら、健康食品を摂取している方も多いことであろう。ここでは、健康食品や機能性食品に対して、何をどこまで期待できるのか(可能性と限界)について論じる材料を提供したい。


 それなりに関心を持ってもらえそうな調査結果を引用しているかとは思いますが、最後は、「論じる材料を提供したい」として、自論の展開から逃げ腰になってしまっています。これ以降の主張の中心は、前回でも触れた「健康食品は不要だが、機能性食品は必要である」ということにしています。ただ、要旨を読み返してみると、ちょっと甘い内容に感じられます。健康食品の現状をみると、単に「健康をイメージさせるだけの食品」が多く怪しげな製品も少なくありません。機能性食品は「科学的根拠を有する食品」であることを願っているのですが、法的な定義されているわけではないので、両者は同じものと言ってしまえば、それまでです。

 全体としてみると、ややまとまりに欠ける内容になってしまったのですが、要旨最後の「おわりに」は、以下のような形で締めくくりました。

9.おわりに 〜「連携」の大切さ〜
 いささか総花的な話になってしまったが、「食と健康」を考えるきっかけになればと思っている。また、筆者の力量不足もあり、機能性食品の実質的な「可能性と限界」にまで踏み込むことはできなかったが、議論の材料は提供できたのではないだろうか。

 「農医連携シンポジウム」でもあるので、最後に「連携」の大切さを訴えて、しめくくる。食と健康の問題は、農医連携なくして本質的アプローチができない。機能性食品の研究開発では、産学官連携も重要であろう。また、大学に勤務する筆者は、これまで卒業生との連携に大いに助けられたし、これからも大切にしていきたい。もちろん、公開講座などを通しての市民(消費者)との交流も、われわれにとっては貴重な連携機会である。


 何とか「農医連携シンポジウム」にからめて終わらせています。10月24日に北里大学相模原キャンパスで開催されるこのシンポジウム、今回は「食の安全と予防医学」がテーマです。すでにプログラムは決まっていますが、北里大学のホームページを先ほど確認したところ、まだ掲載されていませんでした。ご参考までに、以下にプログラム(講演タイトル)を示しておきます。今回のシンポジウムの演者は、北里大学の教員が中心となっていますが、魅力的な構成になっているのではないでしょうか。シンポジウムの詳細については、間もなく農医連携シンポジウムのページでご覧になれると思います。


 北里大学は、「農医連携」による教育・研究の推進を、大学全体の目標の一つに掲げています。「医食同源」という言葉をあげるまでもなく、「食(農)」と「医」は本来密接な関係にあるものです。しかし、残念ながら、これまでわが国における教育や研究の場における農医連携は、それほど重視されてきませんでした。現在、私の所属する獣医学部動物資源科学科では、医学部との教育連携プログラムの構築作業が進められています。当初、前例のない取り組みだけに具体的なイメージがつかみにくかったのですが、ようやく形になりつつあります。この教育プログラムの内容についても、いずれ紹介したいと思っています。

─────────────────────────────
※現在、「第6回農医連携シンポジウム」の講演映像が、
オンデマンド配信されていますので、ご覧ください。
─────────────────────────────


〜追記〜

2009/08/25


 本文中で紹介しました「北里大学農医連携シンポジウム」で講演した「機能性食品の可能性と限界」の内容が掲載された書籍(北里大学農医連携学術叢書第6号『食の安全と予防医学』, 陽 捷行編)が出版されました。詳しくは出版社(株式会社養賢堂)のホームページをご覧ください。

 なお、私の所属する北里大学獣医学部動物資源科学科では、医学部の全面的な協力のもとに画期的な農医連携教育プログラムを推進し、「農」と「医」の視点をもつスペシャリストの養成をしています。農医連携教育プログラムのホームページに詳しい説明がありますので、ぜひご覧ください。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
211:祝・北里大学獣医学部創立50周年(2016/04/25)
77:体に良い食品なんてない!(2010/09/27)
64:動物資源科学科の農医連携教育(2010/03/10)
27:機能性食品の可能性と限界(2008/08/25)
11:健康食品・機能性食品・特定保健用食品(2007/12/25)
食品のトピックス | 11:52 | 2008.09.10 Wednesday |