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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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ガラナと北海道

No.29


 北海道を訪れると、いたるところで「ガラナ飲料」を目にします。私は割合と好きな味なので、北海道に行くとよく飲みます。今年の夏も函館で飲みました。「北海道限定」などと書いてあると、飲まないで帰るのは損な気さえします。最近は、北海道以外でも見かけることがありますが、やはり「ガラナは北海道」という感じがします。

 ずっと、「なぜ北海道にガラナ?」と疑問に思っていましたが、北海道から帰ってくると忘れてしまい、調べることもありませんでした。この疑問は、日本経済新聞の「裏読みWAVE」という欄に掲載された、「ガラナ飲料に“日米決戦”秘話」(2008/8/16)という記事により解決されました。インターネットで調べてみると、ウィキペディアなどでも結構詳しく解説されているので、今回の話はご存知の方が多いかもしれません。


 ガラナは南米のアマゾン川流域原産の植物(左下図)で、ガラナの実(右下図)にはカフェインやタンニンが多く含まれています。先住民(インディオ)たちは、古くから不老長寿の植物として珍重してきたそうです。現在でも、ブラジルではガラナは国民的な飲料です。ガラナの実のエキスには、疲労回復や滋養強壮といった作用があるとのことで、日本でもサプリメントや栄養飲料(ガラナ飲料以外)などにかなり使われています。なお、大部分のガラナ飲料は、コーラを少し薄くしたような色をしていますが、これはカラメル色素で着色したもので、ガラナという植物(実)の色とは無関係です(「白いガラナ」という製品もあります)。


 さて、「ガラナ飲料」が北海道で人気のある理由ですが、コカ・コーラの日本進出が関係しているとされています。1957年に米国のコカ・コーラ社が日本に現地法人を設置し、コカ・コーラの本格的な販売活動を開始しました。これに対し、日本の飲料業界は強い危機感を持ちました。業界団体である「全国清涼飲料工業会」が、コカ・コーラに対抗するために知恵を絞った結果、目をつけたのがガラナです。「コアップガラナ」という全国統一ブランドで1958年から販売を開始しました。しかし、コカ・コーラの強さは圧倒的で、ガラナ飲料はほとんどの地域で消えていってしまいました。

 ところが、北海道ではコカ・コーラの本格的な進出が1963年と本州よりもかなり遅かったため、それまでの間(約6年間)にガラナ飲料を消費者に浸透させることができたとのことです。新聞記事などでは、概ね以上のように解説されていますが、私は他の要因もあったのではないかと思っています。他の地域とは異なった販売戦略の実践や、北海道という土地柄にマッチした飲料であったことなどが考えられますが、このあたりのことは、私が調べた限りでははっきりしませんでした。


 世界中におけるコカ・コーラの強さを見ると、北海道でのガラナ飲料の健闘は賞賛するに値します。これには、苦戦するケースが多い地域ブランド・製品の成功にも役立つ秘話があるのかもしれません。
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35:バラ焼きの街・十和田(2008/12/26)
34:走れメロンパン(2008/12/10)
食品のトピックス | 10:44 | 2008.09.26 Friday |