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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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こんにゃくゼリーの行方

No.31


 先月(2008/9/20)、こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせて重体になっていた1歳9か月の男児が亡くなりました。1995年に起きた最初のこんにゃく入りゼリーによる死亡事故から数えて17件目でした。これまでに亡くなった方々は、41歳の女性1名以外は、すべて7歳以下か68歳以上でした。このような状況から、こんにゃく入りゼリーのメーカーが加盟する業界団体は、昨年10月(2007/10)から、注意を促す統一マークを商品に入れるよう指導してきました。


 業界では今回の事故を受けて、さらに目立つようにマークと警告文を枠囲みしたものを載せることにしました。また、今回の死亡事故の原因となった「蒟蒻畑(こんにゃくばたけ)」の製造元である株式会社マンナンライフは、この製品シリーズ(ポーションタイプ)の製造を一時停止しています。ただし、商品の回収までは行わないとのことです。この会社の主力製品であり、今後の行方は死活問題でしょう。


 全国の消費者団体で組織する「消費者主役の新行政組織実現全国会議」は、こんにゃく入りゼリーの製造販売の禁止を求める緊急声明を発表しました(2008/9/30)。また、自民党消費者問題調査会(岸田文雄会長)は、こんにゃく入りゼリーの形状変更などの規制を加える議員立法を検討する方針を確認しています(2008/10/10)。すでに米国、ヨーロッパ(EU)、韓国では、こんにゃく入りゼリーの製造販売が禁じられていますから、日本での禁止も妥当な選択のようにも思えます。しかし、日本では他国以上に人気のある食品でもあるので、その最終的な判断は非常に難しいところです。こんにゃく入りゼリーを法規制(製造販売の禁止)することに反対する署名活動も行われています。

 ご存知のように、のどに詰まらせやすい食品は、こんにゃく入りゼリー以外にもたくさんあります。厚生労働省の「食品の窒息事故に関する調査」によると、2006年の1年間における死亡事故件数の多い食品として、もち(168件)、パン(90件)、ごはん(89件)、すし(41件)、あめ(28件)、だんご(23件)、おかゆ(22件)、流動食(21件)といったものが上位に並びます。こんにゃくゼリーの17件という数字は14年間における累計ですので、件数だけを比べると、これらの食品の1年間における件数よりもずっと少ないものとなります。ただ、こんにゃく入りゼリーを食べる人の数は、もちやパンに比べるとはるかに少ないでしょうから、危険性という点での比較をするのは難しいかもしれません。

 野田聖子消費者行政担当相は、記者会見(2008/10/10)で、「もちはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有している」と強調していました。しかし一方で、「ゼリーだけを規制し、もちやアメを規制しない合理的な根拠は見つかりにくい」(厚生労働省)という見解も出されています。


 私は子供の頃、よく食物をのどに詰まらせました。今も記憶に残っているものだけでも、あめ、タコ、イカなどがあります。一番鮮明に覚えているのは、握り寿司のイカを詰まらせたときのことです。私は窓から顔を出して、父親が必死に背中をたたいてくれました。「カポッ」という音がして、イカが口から飛び出したときは、本当に生き返る思いがしました。子供の頃のそんな経験もあってか、こんにゃく入りゼリーの話は、いつも気になっていました。


 こんにゃく入りゼリーの窒息事故については、内閣府食品安全委員会のホームページに、関係するホームページ情報がまとめられていますので、ご参照ください。
食品のトピックス | 10:47 | 2008.10.24 Friday |