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トピックス

北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。

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ホットケーキとメイラード反応

No.32


 「メイラード反応」をご存知でしょうか?このトピックス欄でも、これまでに2回触れたことがあります(No.5「ペプチドはおいしい!?」, No.10「ペプチドは魅力的なペットフード素材」)。メイラード反応(あるいはアミノ・カルボニル反応)は、食品においてとても重要な化学反応で、嗜好性を左右する「色」や「香り」に大きく関わっています。

 最近、メイラード反応について、ホットケーキでの実験を紹介しているホームページを見つけました。『Glory Hole』というサイトで、第6回全日本Web教材コンテスト(2003年)で、「最優秀賞」を受賞したそうです。製作当時、高校生だった仲良し3人組が作ったとのことですが、大学受験の準備のために更新が途絶えてしまったようです。「最優秀賞」というのも納得の上質なホームページだけに、残念な限りです。なんとか活動再開できないものでしょうか。


 『Glory Hole』の「食の民」というページのコラムに、「ホットケーキはどうしてキツネ色?」が載っています。このページを見ていただければ、容易にメイラード反応をイメージすることができます。食品科学(化学)の教科書には必ずメイラード反応の説明がありますが、これほど視覚にうったえたわかりやすい説明を目にしたことはありませんでした。

 ホットケーキの焼き色には、カラメル化反応(糖類が単独で加熱によって起こす反応)も関わっていそうだと思いましたが、その点についてもちゃんと触れているのは立派です。下の図は、『Glory Hole』に載っていた図をちょっとまねてメイラード反応を説明してみたものです。アミノ酸(タンパク質、ペプチド)と糖を混合し、加熱するとメラノイジンという褐色物質が生成し、食欲をそそるキツネ色を食品に与えます。『Glory Hole』のコラムにはもう少し詳しい説明がありますので、ぜひご覧になってください。


 以前、「たまご博物館」(No.19)で、情報発信の大切さについて触れたことがありました。メイラード反応について、インターネットで検索してみると、かなりの件数がヒットはするものの、大学や公的機関の研究者が一般向けにきちんとした解説を提供しているサイトは見当たりませんでした。「日本メイラード学会」のホームページも、その種の情報は発信しておらず、学会会員のためのページといった感じです。

 今年の科学研究費補助金(大学等の研究者に対して国が交付する研究費)の申請書類には、「研究成果を社会・国民に発信する方法」を記述することが求められていました。これからは、学術論文や専門書のように研究者だけを対象とした情報発信だけでは不十分ということかもしれません。このトピックス欄も何とか続けていきたい(できれば質も向上させたい)と思っています。


 上述のようにメイラード反応を解説したサイトを探しましたが、残念ながら本格的なものを見つけることができませんでした。ウィキペディアの「メイラード反応」以外では、「株式会社地層科学研究所」のホームページ「やわらかサイエンス」に掲載されているNo.24「メイラードの迷宮」という記事が興味深く読めました。

この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
223:生薬「阿膠」とメイラード反応(2016/10/25)
191:メイラード反応と特許(2015/06/25)
93:食品と生体におけるメイラード反応(2011/05/25)
45:想いやり生乳と加熱殺菌乳(2009/05/25)
36:コラーゲンとメイラード反応(2009/01/13)
10:ペプチドは魅力的なペットフード素材(2007/12/10)
5:ペプチドは、おいしい!?(2007/09/14)
食品のトピックス | 14:31 | 2008.11.10 Monday |