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北里大学獣医学部教授・有原圭三(株式会社フード・ペプタイド代表取締役)が、食品を中心とした情報を発信します。


オーストラリアの畜産事情

No.267


 オーストラリアのメルボルンで開催された第64回国際食肉科学技術会議(64th International Congress of Meat Science and Technology, 2018/8/12-17)という国際学会に出席してきました。オーストラリアと言えば、誰もが知る畜産大国です。今回は、オーストラリアの畜産について、少し紹介することにします。


 オーストラリアで生産される主要な畜産物として、牛肉、羊肉、牛乳(生乳)があげられます(下表, 2016年)。羊肉は世界第2位を誇っていますが、生産量から牛肉が最重要な畜産物と言ってよいでしょう。


 メルボルン郊外を車で走ると、放牧されている肉牛の姿を目にします(下写真)。日本にとってオーストラリアは、米国と並ぶ牛肉輸入国です。スーパー等で、豪州産牛肉(オージービーフ)はお馴染です。


 オーストラリアの肉牛生産は、一般的には大規模で粗放的と言われています。牧草肥育が主流で、輸出量においても牧草肥育牛肉が80%程度を占めています。ただ、輸出量の20%程度である穀物肥育牛肉の多くが日本に輸出されており、日本でよく食べられているオージー・ビーフは、典型的な豪州産牛肉とは言えないかもしれません。


 オーストラリアの羊肉は、中国に次いで世界第2位の生産量です。写真のような羊の放牧風景(メルボルン郊外のもの)を、オーストラリアのイメージとして持っている方も多いと思います。


 以前、「羊肉の魅力」で書きましたが、オーストラリアやニュージーランドから良質な羊肉が輸入されるようになり、日本でも羊肉が見直されています。


 オーストラリアで生産される牛乳(生乳)の半分近くは、輸出用の乳製品となっています。世界第4位の乳製品輸出国であるオーストラリアは、日本の主要乳製品輸入国でもあります。オーストラリアにとって重要な輸出畜産物である乳製品ですが、生乳生産の伸び悩みや堅調な国内消費の推移により、今後の大幅な輸出量拡大は難しいようです。また、アジア諸国における乳製品需要の拡大は、今後の日本の輸入量確保にも影響を及ぼすと見られています。


 ところで、メルボルン国際空港内の売店では、かなりの量の粉乳製品が置かれていました。チーズのような乳製品ならば珍しくありませんが、空港で粉乳というのはあまり目にしたことがありません。輸出向け乳製品に力を入れている国ならではの光景なのかもしれません。


 オーストラリアの食肉として忘れてはならないものに、カンガルー肉があります。かつては、カンガルー肉の食用は禁止されていましたが、1993年にオーストラリア全土で食用が解禁されました。オーストラリアのカンガルー肉は、すべて野生の個体を捕獲して生産されています。たいていのスーパーにはカンガルー肉が置かれており、もはや特殊な肉ではありません。かなりの数の国に、輸出もされています。


 カンガルー肉の料理を提供するレストランも多くあります。写真は、メルボルン市内のレストランで注文したカンガルー肉のステーキです。何も言われずに食べれば、牛肉かと思うような味でした。ただ、カンガルー肉ということを意識して食べると、牛肉とは多少違う味がします。


 オーストラリアの「食」を知るための最適な場所として、メルボルンの「クイーンビクトリア・マーケット」があります(下写真)。ここには様々な食肉が販売されており、オーストラリア産の「Wagyu(和牛)」も目にすることができます。


 次回は、この南半球最大級の市場と言われているクイーンビクトリア・マーケットを紹介します。個人的には、メルボルンで一番の見どころだと思っている場所です。



この記事に関連する記事はこちらです。ぜひお読み下さい。
268:メルボルンのクイーンビクトリア・マーケット(2018/09/10)
266:America's Dairyland(2018/08/10)
263:羊肉の魅力(2018/06/25)
205:ロシアの食肉事情(2016/01/25)
176:バレンシア中央市場(2014/11/10)
173:インドの食肉事情(2014/09/25)
151:モンゴルの「赤い食べ物」(2013/10/25)
食品のトピックス | 11:53 | 2018.08.27 Monday |